それぞれの「循環の家」・後半

2010 年 2 月 17 日

「循環の家」から
それぞれがイメージすることに耳をかたむけていると
それぞれのイメージが少しずつ異なっている。
それは当然のことだ。
同じ人間がひとつとしていないように
感じ取る想いもそれぞれにちがっていたほうが
豊かなように僕は思う。

(上の写真は「水と生命の惑星・地球」
財団法人 地球科学技術総合推進機構発行より出典)

11、普遍的
自然のしくみに沿った普遍的なもの。
「もの」の中には
素材、動線、光、風、エネルギー、空気、水、植物、鉱物

最後の「愛」がなければ循環は成り立たない。
家族愛、夫婦愛、親子の愛、兄弟の愛、
いろんな愛があって100年も200年もその家は守り続けられる。
その愛がないとその家は絶えてしまう。
その時「循環」は終わる。
その愛を産むのはその家が
「心地良くしあわせを感じる家であること」である。

12、受け継ぐ
その家を次の代へと受け継ぐ事ができる家であること、
家族の存在がわかる家であること、
良い事も悪い事も家族が教えてあげられる家(空間)であること、
外部(近所)からも顔のわかる家であること。

13、つなげる
廃棄のない家、始まりも終わりもない家。
全体であり、部分である存在。
周辺環境といろいろな面で関連している家。
角がない家、全体的に丸みのある家。
生命力を感じ、
動物や植物など一つとして同じものが無い有機的なイメージの家。
自然環境と住環境を隔てる存在だった「家」が、
自然環境と住環境をつなげる存在の「家」になること。

14、繰り返す
限りあるものを使い、使ったものがまた、
その土地の環境に負担をかけない状態で
そこにある菌や生物や環境が
自然な状態で朽ち、そしてまた芽をだし生まれ育つこと。
そんな一連の流れが、可能な限り繰り返すこと。

15、山とつながる
その家で使うエネルギー、消費財が
一方的に外部から供給され、一方的に消費するだけではなく、
使ったエネルギーとその結果排出されたもの(ゴミ)が
有効利用され循環する家。
建ててからも山とつながっている家であること。

16、命のバトン
絶えることのない
尽きない
すみずみまで行き渡った・・・

小さな単位で言うと毎日細胞が生まれ変わり、
体の中でも色んなものが循環し命が維持されている
大昔から先祖の命のバトンを受け継いでいて
それと同じことが地球環境の中でも長年において繋がっている
その営みを自分の世代で途絶えさせてはいけない。が、
現実は人間が生きていること自体
大きな負担をかけているのだろうと思うので
なるべく地球環境に負担をかけない家に住み
なるべく負担をかけない暮らしをしていく・・・
そのような謙虚な気持ちを持って暮らすことの中に
意味を感じます。

17、生きる
血液の循環。
生きている体=家であること。
住まい手が住むことで、
本当の意味での家が成り立ち、循環の家が始まると思う。
住まい手が暮らし、成長し、世代が交代すること。
物体として循環の家のシステムを構築する上で、
必要なのは、人だと思います。

18、正しい循環
太陽、植物、光合成、酸素、土壌、土、水、実り、摂取、
生きる、生かされる、戻す、きれいに、
摂理にそって、死ぬ、栄養となる

循環して成り立つ自然
そこに生きる人間、動物
人間だけが地球上の生物でない
正しく循環させること。

19、自然の理に沿う

自然の理に沿って生きる術、それを提案する場が「循環の家」

パーマカルチャー:Soil  Design
設計:日影良孝建築アトリエ
施工:アトリエDEF

この三者がお互い調和し合い
今回の建築に関わる
すべての人の間に循環する互いを思い合う心が
この「循環の家」を完全な調和、
つまり愛そのものへと近づける

人は本来美しいものである。

 

 

それぞれの「循環の家」・前半

2010 年 2 月 13 日

「循環の家」という言葉から何がイメージできるだろうか。
おそらく一人一人ちがうだろう。
設計のヒントを見つけるために
アトリエデフのスタッフ18名と日影アトリエのスタッフ1名に
「循環の家」という言葉から何をイメージできるのかを、
アンケートをとってみることにしました。
ここでそのアンケートを紹介してみようかと思います。
全文掲載することは不可能なので、僕の編集で文章を抜粋し
表題をつけ彼らの言葉を重ねてみました。

(上の写真はニュートン別冊「よくわかる地球の科学」からの出典です。
下の地球の写真は「不都合な真実」の表紙からの出典です)

1.宇宙
循環とは?
生命の循環。
人はナゼ生まれてきて、死んでいくのか?
地球はナゼ生まれてきて、死んで?いくのか?
宇宙は・・
人が生まれてくること自体が環境破壊?
地球はナゼ生物を必要としたか?
ナゼ人がつくられたのか?
急激に地球を破壊する人間がナゼいるのか?
必要だったのか?
そもそも地球は宇宙にとって必要なものなのか?
その先にとって、宇宙は必要なのか?

2.自然という大きな流れ
私の循環の家のイメージは、
自然という大きな流れの一部となる家です。
自然と共に暮らす。人も自然の一部。
自然に近い位置で、自然を取り入れながらゆっくり
暮らせる優しい家になってほしいです。
そして
土に還る素材、国産材、山を守り、水を守る。
職人の技を守り伝え、作家の手作りのあたたかさを大切にしたい。
風景の一部になる世代から世代へと受け継がれていくことの出来るデザイン。
有害な化学物質を使用しない、製造過程・成分を確認した素材を使用し
厳しい検査とチェックをおこなう。

3.春夏秋冬
空気がめぐる、風がめぐる
山の木が家へ、そしていつかは土に戻る
春夏秋冬 季節が巡る
次の世代へ、また次の世代へ住み継ぐこと
自然と一緒に生活していく。自然なしではありえない。
その地域の春夏秋冬に適した家、

4.場所
循環の家が、暮らしや家造りを提案する場であること、
循環の家に関わる人々の思想や行動が、
正しく伝わっていくこと、つながっていくこと、受け継いでいくこと、
これらが循環していく場所になればと願っています。

5.家族の中心
その家族(何世代にもわたって)の中心・核であり、
空気や水・近所にある大きな大木のように存在し、
それ自体は主張することなく、
気がつけば
安心できるよりどころとして存在しているもの。
そうすることにより、永く住み継がれる家(家族)として存在する。
循環の家が朽ちた時に自然に還るのは当然として、
第一にその家族にとって住みよい家、自然、風土、社会から護ってくれる、
落ち着けて安心できる空間、
それを基本と考えて、
第二に自然と家の調和を考える。
そうすることにより
自然に対しても家族に対しても循環の家として存在できると思う。

6.住み心地
循環とは
そこに住む人の流れをイメージすることができると思います。
何世代にも渡り住むことに対応できるようなフレキシブルな住まい。
そこに住む人のライフスタイルに合わせ、家自身も変化し、
循環することに対応できるような
住まい・家の造り方・素材であるべきだと感じます。
そこに住む人、
あるいはこの先住む人に対しても住み心地の良い空間を提供すること。
あまり懲りすぎた家ではなく、
そこに住む人なりの要望に答える事のできるような
フレキシブルな作りの家。

7.発見
家が人だったらそこに住む人は血液。
家とそこに住む人は切っても切れない関係。
定期的に泊まり掃除をしたりする中で、家のいろいろな暮らし方を探していく。
掃除などの具体的な行為で循環の家から新しい何かを発見をする。

8.綺麗
世代を超えた家。
劣化するほどに綺麗な家。

9.昔の家のように
環境に負荷がなく、無駄に捨てるものがなく、
太陽、水、土、木、風、石など自然界に存在するものを有効かつ効率よく利用し、
そこに人が住むことにより循環の家の循環の機能が
ぐるぐる回り始め永久に繰り返す住まい。
高機能なものを設備した家ではなく本当に昔の家の生活にたどり着くような家。

10.全て土に還る
使用する素材やエネルギーは全て土に還るものでなくてはならない。
地球という大地からつくられる自然の素材をお借りして
また大地にもどさなくてはならない。
職人の技術を継承できるような工法をたくさん取り入れ、
自然にある素材やエネルギーを当たり前に使うことで、
本当の家での循環の家が完成するのではないかと考えます。

次回に続く 

 

たおやかな家

2010 年 2 月 5 日

夜の青い闇の林の向こうに八ヶ岳が見えます。
満月が浮かんでいます。

設計に着手してから間もなく、
アトリエデフの大井みのりさんから
循環の家のイメージをあらわす手紙が届きました。

たおやかな家という題名の手紙でした。

たおやかな家

女性らしさと男性らしさが融合した美しさ
バランスのとれた、調和のとれた家

女性らしさ
 しなやかで やさしい やわらかい
 一方でとても合理的、機能的

男性らしさ
 大きく包み込む頼もしさ 立ち姿の格好の良さ

住宅を建てるということは、ときに
とても私的で、個に執着することである気がします。

今回のモデルハウスは、幸いなことに特定の個にこだわる
条件下にありません。

我、私、個というものを限りなく削ぎ落とし、
相手を思いやる心、あるがままを受け容れること、
愛、いのちの営み、などといった
普遍的なもののあたたかさ、やわらかさ、おおらかさが
自ず然る家にできたらすばらしいと思います。

それは、私自身の生きるテーマであり、課題でもあります。
この家づくりにかかわるすべての人に
笑顔をもたらし、喜びに溢れて進むことを常に祈ります。

「循環の家」のまわりの環境

2010 年 2 月 3 日

「循環の家」の敷地に北側を背中にして立つと、西側に
八ヶ岳、南側に甲斐駒ケ岳が見え、それに連なるように
西側に山並みが見えます。このように180度視界が開
かれています。写真は水田の時期の西側の風景です。

見る位置を微妙に変えると林のかたちも変わって見えま
す。9月の西側の風景です。深い雲が山並みを覆って
います。

夕暮れ時の八ヶ岳です。山の上に白い点のようなものが
浮かんでいるのがわかりますか?満月です。
四季の移り変わりや、時の流れによって、風景が刻々と
変化します。
アトリエデフの大井みのりさんは、西側の夕焼けが好きだ。
と話してくれました。

「循環の家」の物語。

2010 年 2 月 2 日

アトリエデフが企画し施工をおこなった「循環の家」。

設計は僕が担当することになりました。
はじめまして、
森びとの会のサポート会員の日影良孝です。
ちなみに下の写真は循環の家の上棟式の時の日影良孝です。

               

設計を始めたのはたしか昨年の春ぐらいからだったと思い
ますが、この場をかりて「循環の家」ができるまでの過程を
皆様にお伝えしようと思います。

上の写真は水田越しに見る「循環の家」の敷地です。
向こうの林の手前が「循環の家」の敷地になります。

敷地のすぐそばから東を見ると八ヶ岳が望めます。
田んぼが黄金色に輝き、雄大な八ヶ岳に大きな雲が覆
っています。アトリエデフの大井社長からこの敷地を見せ
ていただいたときは、とても感動しました。
少しおおげさですが、敷地から見える風景に人工的なも
のがほとんど見えないのです。
建築を設計する上でこんな素晴らしい場所を僕は今まで
あまり経験したことはありません。
そして僕は、この風景に調和する家を設計することができ
る喜びを抱くと同時に、大きなプレッシャーも抱くことにな
るのです。