Vol.11

水の色をしたいのち

クラゲ

クラゲって94%ぐらいが水分なんですって。

水がないとぺちゃんこです。

 

からだの中には、ほとんど何もない。

脳も心臓も血管もない。

そんなからっぽのからだで、

兄妹げんかをしたりする。

餌に近づいたり、

敵から逃げたり、

海が荒れれば深くもぐり、

晴れればぷか〜っと浮かんでくる。

 

いきいきと暮らしているのに、

太陽にさらすと消えてしまいます。

いのちってなんだろう…

 

クラゲの栄養は、生きている水です。

生きている水がからだ全体に循環して、

血液のかわりになっている。

 

水の色をしたいのち

 

クラゲは十億年も前から生きています。

古事記の冒頭にも出てきます。

内湾にも、外洋にも、深海にも、

熱帯にも、寒帯にも、極地の海にも、

どんな海にもいるクラゲ。

 

「水母」と書くクラゲは、母なる地球の使いでしょうか。

 

からっぽの透明なからだで漂いながら、

太古の昔から、地球の歴史を眺めてきた。

 

わたしたち人間のからだは、なんてぎっしり詰まっているんでしょうね。

たまには、クラゲみたいに、からっぽになりたいな。

からっぽのからだにサラサラと水をそそぎ、

ぷかり、ぷかり、ただよって、日々の流れに身をゆだねたい。