2014.11.13 thu

森びとにゅーす⑨森びと暖房キ@ビオプラス西條デザイン

森からうまれ森へかえる家づくり集団森びとの会」の情報とリンクする「森びとにゅーす」。

海外から輸入した化石燃料ではなく、地元の森のめぐみを燃料にした森びとたちの暖房についてお伝えする第5回目は、これまでご紹介してきたどのエリアよりも寒さがキビシイ北海道の森びとカンパニー、「ビオプラス西條デザイン」さんです。

事務所では、建てた当時に実験も兼ねて設置した、レンガに蓄熱してその熱を放射する方式の古い暖房器具と灯油ファンヒーターを併用しているそうですが、西條さんのご自宅では薪ストーブをお使いとのこと。

ご自宅の写真は手に入り次第アップすることにして(笑)、あとは私がこれまで取材させていただいた数々の西條デザインの施行住宅の中から、暖房話が印象的だった二つのお宅をピックアップしてレポートします。

以下は、つい先日取材させていただいた札幌市内のお宅の暖房。まずは煙突のてっぺん部分からご覧くださいマセ(笑)。
西條さん暖房キ 田中さん宅 (1)
1階に置いてある薪ストーブの煙突が、2階の天井の上まで通っていて、そこがスコーンと吹き抜けに。

これはストーブの燃焼効率が良くなると言われる二重煙突なので、煙突から放出される暖気は一重の煙突ほど期待できないそうですが、この写真の壁の両サイドに見える小窓を通じて左右の室内にも暖気が入っていくので、2階全体にストーブの熱が行き渡っていくのだそう。


高気密・高断熱が基本の、部屋がいくつもある大きな一軒家を新しく建てる場合、薪ストーブやペレットストーブひとつで各部屋までくまなく暖めるのは難しく、ガスや灯油燃料のパネルヒーターを各部屋に設置するのが一般的ですが、このような設計の工夫があると暖かさが家の中全体に行き渡りやすく、パネルヒーターの節約にもつながるとのこと。

「夏は窓を開けることで家の中全体の換気がスムーズに行われるように。冬は窓を閉めきった状態でも結露することなく、家の中全体の温度をすばやく一定の暖かさに保てるように。それを実現する設計が肝心なんですよ」と、一級建築士の山田さん。

「この家は、夏は涼しくて冬はあったかいんです」とご満悦の奥さまの表情は、山田さんの設計が大成功している何よりの証ですね。

西條さん暖房キ 田中さん宅 (3)
ずずずいーっと伸びている煙突の足元は…
西條さん暖房キ 田中さん宅 (2)
こんな薪ストーブ。そんなに大きくないのに、ステキで頼れる冬の味方です。

薪ストーブは主人の趣味。でも私もとても気に入っています。薪はおかげさまで西條さんが建築端材を運んできてくださるので、買わずにすんでいてとっても助かってるんですよ。

西條さんの建材は接着剤などの化学物質がしみこんでいない天然の木なので、化学物質過敏症の私にも安心です。


う〜ん、なんてラッキーなんでしょう!薪ストーブは私の憧れ。趣味の暖房とはいえ、燃料費がゼロ円とはうらやましい限りです…!

西條さん (3)
こちらは、石狩にある菜園つきエコアパート「かたくりの里・とうべつ」の各部屋に備え付けられているペレットストーブ。一階と二階がスノコ床でつながるメゾネットタイプですが、小さな空間なのでパネルヒーターはナシ。
_MG_9285 (427x640)
菜園につながる土間の端にストーブがあり、
_MG_9275 (427x640)
階段をのぼっていくと
_MG_9263 (640x427)
土間のちょうど上にあたる部分に木製のスノコが。ここから暖気が直接上がってくるしくみです。
_MG_9268 (640x427)
石狩は札幌に比べかなり雪が多く寒さが募るエリアですが、

_MG_9239 (640x427)

このペレットストーブ一台で、不自由なく冬を越しました。家族みんなで二階で寝ているのですが、寝る前にストーブを消して上がると、二階はポカポカ。朝も温もりが残っていてホワッとしています。


と、こちらの奥さまもニッコリ。このエコアパートは、断熱が20ミリと一般住宅に比べてもかなり分厚く、しかも原料は木の繊維。木造建築にありがちな隣同士の騒音問題を避けるため、大家さんが壁の構造材を通常の2倍使うという決断をしたことは、きっと断熱アップにもつながっているはず。

ふだんは無口な設計の山田さんも、「アパートの建て主さんは普通、いかに経費をかけないかを考えるものなのに、ここの大家さんはまったく違う。こんな良心的な大家さん、どこ探してもいませんよ!」と力説。

極寒の北海道にあるものの、木づかいと気づかいのダブル効果で、ひときわあったか〜いエコアパートなのです。


西條デザインさんのお宅に住む方をこれまでたくさん取材してきましたが、みなさん本当に幸せそうで、寒がりの私としてはうらやましい限り。

もともと保温力に優れた無垢の木材、呼吸する土や和紙、自然素材の分厚い断熱材、雪国で生まれ育った熟練設計士の知恵とワザ……そして、そんなそれぞれの素材のぬくもりと、心地よく響き合う暖房たち。

それらの本領が発揮される季節が、もうすぐそこまで来ています。


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山形も雪国。このお宅には、
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