自然派生活オーガニックカレッジ2016(4/5)

家造りは
ライフスタイルの提案

古民家ライフ:高木孝治

今回のレポートの最後を飾るのは、山形県の古民家ライフの代表の高木孝治。森びとの会で一番若い会員です。

私は高木家の11代目当主としてまた、父の経営する工務店の2代目として1975年に生まれました。父は工務店を経営しておりましたので、木に親しむのが当たり前の毎日でした。幼いころは当然のように、大人になったら大工になるものだと思っていました。

しかし、大学進学を目指し浪人していた19歳のある日突然とんでもないことがおきます。それは1994年の12月のことです。父が約1億円もの借金を残したまま他界してしまいました。会社は倒産し、一家夜逃げという、思いもがけないことがわが身にふりかかったのです。私は進学をあきらめ、働くことになりました。

そんなどん底の時です。ふと立ち寄った本屋で何気なく手に取った建築雑誌「コンフォルト」誌面で、古民家再生の記事に出会いました。いまでも何故かよくわかりませんがその瞬間、古民家再生をライフワークにしていくと決めたのです。大学では環境保護の勉強をするつもりでした。また、親がやっていた工務店を再建したいとも思っていましたので、偶然にもその二つが交わるところに古民家再生がありました。いきなり、目指すところが定まったのです。

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別の雑誌で、神楽坂建築塾が二期生募集をしていることを知り、その門をたたきました。建築家の鈴木喜一先生と、建築評論家の平良敬一先生が、私の最初の師となりました。

その後、大工修行のために山形に渡りました。20代は大工の修行期間と決めていました。主に寺や文化財の古民家を再生する仕事に携わらせていただきました。そして2006年3月独立、「古民家ライフ」を立ち上げ、2011年に株式会社になりました。

家造りはライフスタイルを
共につくりあげるということ

「古民家ライフ」という名前にしたわけを、お話しします。
19歳の時に見た雑誌の再生古民家の写真には、長い時間をかけて受け継がれ、決して時代に流されることのないものが写っていました。
それは、単に見た目に美しいだけでなく、生活と深く結びついた本質的なものです。

そもそも昔の人は、自分たちの手で住むところ、食べるものをつくっていました。近くにある木や土や石を用いて自分たちの力で家をつくりあげ、その土地にあった作物を田畑でつくって生活していたのです。土間があり、縁側があり、そして気候にあった屋根がありました。その土地の生活と家のありかたは常につながっていました。

古民家ライフの理念は「昔からあるいいモノ・知恵・技術・文化を受け継ぎ伝える事」です。
古民家を解体するとそこには大工さんの知恵や技術がそのまま残っています。取り壊されていく古民家に耳を傾け続け、その声を聞き取り、何とか後世の方々に受け継ぎたいと思っています。

古民家ライフの名前の由来に話を戻しましょう。ライフはライフスタイルの提案、家づくりの提案は、そのままライフスタイルの提案につながります。また、ライフ=命。古民家の命を繋ぎたいという祈りも込めて「古民家ライフ」という屋号がうまれました。

ライフスタイルに共感しあえる関係にならないと、私の家づくりはうまく進みません。お陰様でお客様とは、まるで親戚のようなお付き合いをさせて頂いております。

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私は米づくりもしています。小さな田んぼで、無農薬でもないですが、家族が食べる分のお米を近所のおじいちゃんと一緒につくり続けています。田んぼの風景は綿々と受け継がれてきた何気ない当たり前の風景。私が普段からこころがけているのは、何気ない日常を大切にするということです。それが、幸せな毎日をつくるのではないかと思います。

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自宅も自分でつくりました。お金の無い時でしたので、くりこま木材さんから売れ残って細くなった材料や、他社から返品された材料を安く譲ってもらい1年かけてつくりました(まだ完成していませんが・・・(笑))

新しい一歩を踏み出す

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上の写真はこの度新しく完成した念願のアトリエ兼工場です。そこにはカフェも併設しました。ずっと公務員をしていた妻が3月に退職し、この6月、手前の木造部分を「暮らしの道具と糀カフェ 晴間」としてグランドオープンしました。これも、ライフスタイルの提案の一環である「食」の提案をするためです。

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また、どんなライフスタイルを送りたいのかを一旦立ち止まって一緒に考える場として「ゆたくらがっこう(豊暮楽幸)」も開校しました。自分で使う身近なものを自らの手でつくること、自然と親しむこと、座学、セミナーの開催等、年間を通じて活動しています。

古民家ライフ「新山アトリエ・工場」及び「糀カフェ 晴間」「ゆたくらがっこう」では一つの働き方の提案をしたいと思っています。それは仕事の在り方、家族としての在り方、親としての在り方、親を持つ子供としての在り方、自分たちが思い描く理想へのアプローチの仕方、大変大掛かりな実験道場です。

まずは自分たちが豊かな気持ちになる、それを来ていただいた方にも感じて頂き、本当に豊かな暮らしとは何か?を一緒に皆さんと考え続けることがこれからの我々の仕事です。だから背伸びはせずにまずは出来るところから少しずつ始めていきたいと思います。

どうぞ皆さんお気軽においでください。

記録ビデオ


「自然派生活オーガニックカレッジ2016」での、森びとの会関連の発表の報告でした。
3人の発表から伝わってくるのは、全員がとても真剣だということです。
「ブームだから」「世の中の流れだから」「ビジネスだから」といった、自分の外側に理由があるのではなく、自分自身で考えに考えぬいて、辿り着いた結論が、今の仕事でした。
ひとくちで「木の家」といっても、その中身は様々。林業家の顔がみえる材を使い、確かな技術を持つ職人が、一つひとつ個性のある無垢材と向き合って、丁寧に刻んでつくる森びとの会の木の家。この世に二つとない「本物の木の家」を造り続けるために、森びとの会は今日も努力をしています。

次ページでは、森びとの会以外の方々の講演記録ビデオををご紹介しています。併せてご覧ください。