Vol.152
ばいば〜〜い
歯を抜くために、
歯医者さんの椅子に座って、先生を待っていました。
かなりしょんぼりした状態です。
そのとき、もうすぐ抜かれてしまう歯のことを思いました。
わたしより、もっとしょんぼりしていると思いました。
今まで何十年も働いてくれてありがとう。
おつかれさまでした。
もうすぐ宇宙に還っていくんだね〜
ありがとう〜
ありがとう〜
さようなら〜
いたくないよ〜
だいじょうぶだよ〜
からだ中の細胞たちもざわめきはじめ、大合唱。
だいじょうぶだよ〜
だいじょうぶだよ〜
みんなで、抜かれてしまう歯にねぎらいと勇気をおくります。
麻酔がきいてくるのを待つ束の間…
歯医者さんが怖いわたしの、ささやかな妄想でした。