Vol.12
限りなく死に近い生
ナマケモノは、一日20時間ぐらい寝る。
15時間ぐらいだと、寝不足らしい(笑)
ナマケモノは昔、風を食べて生きていると思われていた。
一日葉っぱを数枚…水分補給に果汁を少々…
それでも消化されず、満腹のまま餓死したりもするらしい。
食べているのに、消化が間に合わずに餓死するって、どこまでスローなんだろう。
哺乳類なのに、変温動物という変わり者で、
気温が低いとますます代謝が落ちて消化できないのだ。
ユーフォーキャッチャーみたいな爪で、樹の枝にぶらさがって暮らす。
枝にぶらさがったまま眠り、ほんの少し食べ、
ときどき樹のてっぺんに登って朝陽を浴びる。
一週間に一度ぐらい降りてきて、
樹の根元に穴を掘り、排泄をし、枯れ葉をかけ、樹に恩返しをする。
少しだけ食べ、その栄養を還元し、
育みあう樹とナマケモノの関係は、地球生物の原点だ。
ナマケモノはほとんど鳴かない。
枝にぶらさがったまま、死んでいたりもするらしい。
時間が止まっているように生きて、
そのまま時間を止めてしまうナマケモノの生涯って、なんて静かで平和なんだろう。
一生の大半をまどろんでいるナマケモノは、この世にいるより、あの世にいるみたい…
地球のどこかにナマケモノというこの世ならざる生物がいてくれること、
絶滅しないで生きていてくれることが、
進歩したがる人間の、肩の力を抜いてくれるような気がします。
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