2014.4.28 mon

キモノのキキメ。

先日、「お茶を楽しむ会」のお稽古で、
久しぶりに着物を着ました。

お茶、と言っても抹茶ではなく
煎茶や晩茶(晩摘みのお茶)を楽しむ会で、
この会で飲んでいるのは、
在来種の自然茶(じねんちゃ)のみ。

自然茶(じねんちゃ)とは、
この会を始めた近藤美知絵師匠が名づけたもので、
農薬や化学肥料をかけて育てた栽培茶ではなく、
山の端に自然に種がこぼれ自生した茶木や、

農薬や化学肥料などなかった大昔から
山里で地元の人々が自分たちの自家用茶として
手をかけてきた茶木から作られるお茶のこと。

生まれて何百年も経つそれらの茶木は
岩を抱き込みながら地中の奥深くまで
根を伸ばしているので、その茶葉には
ミネラルや大地のエネルギーがたっぷり。

茶葉の刈り取りから生産まで
機械で行われる大量生産のお茶とは大きく違い、
自然茶の茶葉は肉厚で一枚一枚個性ゆたか。

その茶葉を手で摘み採り、摘んだらすぐに
ゴザの上で全身の体重をかけて手揉みし、
それを熱い薪釜に入れて炒ってはまた揉み…
という作業をくり返して作られる自然茶。

力強い茶葉ゆえ
シュンシュンに沸いた熱湯で淹れるのですが、
香り立つそのお茶は、飲むと全身にスーッと染みわたり
私はいつも、体の中が温泉につかったような気分に(笑)。

イヤ味や雑味のないその澄んだ奥深い味わいに
体の内側から浄化され、全身がポカポカしてくるのです。

そんな貴重なお茶のいちばん美味しいところに
ピタリと焦点を合わせて淹れられるように、
このお茶の凝縮した味わいを楽しむ
「数滴のお茶」を
テーブルで淹れるお手前を
半年前から習い始めたのですが、

仕事でお稽古を休みがちだった私は
まだその手順さえ身についていない状態(汗)。

私は6月の後半に「お茶を楽しむ会」のお茶会で
そのお手前でお客様に「数滴のお茶」をお淹れする
ことになり、ど〜しよ〜!と焦っていたのですが、
あら不思議。

札幌の喧騒を離れた
八剣山のふもとの師匠の別荘で

久々に着物を着てお稽古に臨んだら
なんだか洋服のときとは段違いに肝が据わり、
慌て度が急降下。

動きや所作が自然と和風になり、
お手前の手順も、すんなり体に入ってきました。


いや〜 キモノ・イズ・ワンダフル!


腰痛持ちのお茶仲間いはく、

「着物着てると帯がコルセットになって
 腰がぜんぜん痛くないの。
 着慣れると洋服よりずっとラクでね、
 料理するときも、子どもと遊ぶときも、
 ここのところ毎日着物で過ごしてるのよ。
 台所仕事も割烹着着れば汚れないし、
 すごくいいわよ」。


以前、着物に詳しい大学教授も

「昔は、洋服で仕事に行った男性たちも、
 帰ってきたら家で着物に着替えてたのよ。

 本来、着物はラクに着れるものだったの。
 そうじゃなきゃ、みんな着ないわよ。

 前がはだけてたっていちいち気にしなかったし、
 おはしょりなんてつくらないで着丈で着たりね。
 
 今のきっちりした着方は、お武家さんたちの着方。
 家事なんてやんない人たちの着方なのよ。

 だからね、もっと気軽に着ればいいの。
 どう着たって自由なんだから」

と言ってたっけ…。


私も着物のふだん着化、トライしてみようかなぁ…



2014年4月28日・月曜日