2014.4.5 sat
桜の園。
「しんこきゅう写真館」に、
2人の方から桜の写真が投稿されました。
この時期、札幌にはまだまだ雪があり、
桜たちが眠りから覚めてほほ笑むのは
いつも1ヶ月くらい先なのですが、
一足先に桜の姿が見れて、とても嬉しい…
ありがとうございます♪
札幌に住んで、はや9年目。
私には、桜のないこの街にいても
この季節になると決まって思い出す、
愛しい桜の園があります。
世界の旅に出るまでの7年間住んでいた
アパートのすぐそばに広がる、井の頭公園。
そこが桜の花であふれんばかりになる
この時期のある朝、
私は満開の桜にひとりきりで包まれるという、
忘れられないひとときを体験したのでした。
明け方の5時少し前あたり。
花見客でごった返していた前夜の喧騒が
幻のように色あせ、公園じゅうの桜たちが
色と香りの濃密さを増して歌い合う
夢と現のはざまに、そのひとときは訪れました。
ふだんはいいだけ寝坊な私が、
その日は不思議とその時間にふと目覚め、
ぼんやりとした頭でサンダルをつっかけて、
まだ薄暗く静まり返った住宅街を、
夢遊病のようにフラフラと公園へ。
到着したそこには、
昨夜集った大勢の花見客の宴の跡が
まるでカラスが散らかした
ゴミ捨て場のように広がっていたのですが、
そんな汚れた何もかもをすっかり覆いつくすように
圧倒的な桜の花が公園じゅうに立ちこめていて、
その光景に息をのみながらも
誘い込まれるように桜煙の中に足を踏み入れ、
舞い落ちた花びらで埋め尽くされた川を横目に
花びらのじゅうたんが敷きつめられた地面を進み、
まるで導かれるように、
たわわな花をたたえた太い枝の一本を
川に向かってせり出した大きな桜の木の前で、
私は足を止めました。
「ここへおいで」
その桜に誘われるままに
せり出した枝のふもとに進み、
背中にゴツゴツした温もりを感じつつ
太い幹にもたれかかりました。
顔を上げて前を見ると、
そこにはあふれんばかりの桜の花で縁取られ、
そこから散った花びらで埋め尽くされた
川の水面が、朝もやに輝きながら
揺れていました。
この世のものとは思えぬほどの美しさに
桜色のため息をつきながら頭を上げると、
頭上には優しく傘を差しかけるかのように、
朝日を透かした桜花の枝が。
小さな桜の花の一つ一つが私を見つめ、
かすかに揺れて笑っています。
私は上も下も右も左も前も後ろも
すっかり桜に囲まれて、
まるで自分自身が桜の木になって、
他の桜たちとともに昔からずっとそこに
生えていたかのような感覚に陥りながら、
煙るような桜の色と香りを、
ひととき深く深く、呼吸したのでした。
「桜染めというのは、
桜の花で染めるのではなく、
桜の木の皮や枝で染めるでしょ。
つまり“桜色”というのは
桜の木自体が持っている色で、
花だけがあの色なわけではないのよね。
花を咲かせるのは
桜の営みのほんのひとときのことであって、
花が咲く前も散った後も、それぞれが桜の旬。
その時々を精一杯生きることで、
あの色や香りが育まれていくのよね」
お茶のお稽古で師匠が言ったその言葉に、
桜たちと過ごした朝を、
焦がれるように思い出しました。
彼女たちが根を張る町で、
彼女たちが吐く四季折々の息を呼吸して、
7年間くらした私。
だから私の細胞には必ずや、
7年分の桜色のエネルギーが
染みこんでいるはずなんだ。
再びの雪が冷たく吹雪く札幌で
窓の外の景色に縮みあがりながら、
そう自分に言い聞かせている、今日の私です。
2014年4月5日・土曜日
2人の方から桜の写真が投稿されました。
この時期、札幌にはまだまだ雪があり、
桜たちが眠りから覚めてほほ笑むのは
いつも1ヶ月くらい先なのですが、
一足先に桜の姿が見れて、とても嬉しい…
ありがとうございます♪
札幌に住んで、はや9年目。
私には、桜のないこの街にいても
この季節になると決まって思い出す、
愛しい桜の園があります。
世界の旅に出るまでの7年間住んでいた
アパートのすぐそばに広がる、井の頭公園。
そこが桜の花であふれんばかりになる
この時期のある朝、
私は満開の桜にひとりきりで包まれるという、
忘れられないひとときを体験したのでした。
明け方の5時少し前あたり。
花見客でごった返していた前夜の喧騒が
幻のように色あせ、公園じゅうの桜たちが
色と香りの濃密さを増して歌い合う
夢と現のはざまに、そのひとときは訪れました。
ふだんはいいだけ寝坊な私が、
その日は不思議とその時間にふと目覚め、
ぼんやりとした頭でサンダルをつっかけて、
まだ薄暗く静まり返った住宅街を、
夢遊病のようにフラフラと公園へ。
到着したそこには、
昨夜集った大勢の花見客の宴の跡が
まるでカラスが散らかした
ゴミ捨て場のように広がっていたのですが、
そんな汚れた何もかもをすっかり覆いつくすように
圧倒的な桜の花が公園じゅうに立ちこめていて、
その光景に息をのみながらも
誘い込まれるように桜煙の中に足を踏み入れ、
舞い落ちた花びらで埋め尽くされた川を横目に
花びらのじゅうたんが敷きつめられた地面を進み、
まるで導かれるように、
たわわな花をたたえた太い枝の一本を
川に向かってせり出した大きな桜の木の前で、
私は足を止めました。
「ここへおいで」
その桜に誘われるままに
せり出した枝のふもとに進み、
背中にゴツゴツした温もりを感じつつ
太い幹にもたれかかりました。
顔を上げて前を見ると、
そこにはあふれんばかりの桜の花で縁取られ、
そこから散った花びらで埋め尽くされた
川の水面が、朝もやに輝きながら
揺れていました。
この世のものとは思えぬほどの美しさに
桜色のため息をつきながら頭を上げると、
頭上には優しく傘を差しかけるかのように、
朝日を透かした桜花の枝が。
小さな桜の花の一つ一つが私を見つめ、
かすかに揺れて笑っています。
私は上も下も右も左も前も後ろも
すっかり桜に囲まれて、
まるで自分自身が桜の木になって、
他の桜たちとともに昔からずっとそこに
生えていたかのような感覚に陥りながら、
煙るような桜の色と香りを、
ひととき深く深く、呼吸したのでした。
「桜染めというのは、
桜の花で染めるのではなく、
桜の木の皮や枝で染めるでしょ。
つまり“桜色”というのは
桜の木自体が持っている色で、
花だけがあの色なわけではないのよね。
花を咲かせるのは
桜の営みのほんのひとときのことであって、
花が咲く前も散った後も、それぞれが桜の旬。
その時々を精一杯生きることで、
あの色や香りが育まれていくのよね」
お茶のお稽古で師匠が言ったその言葉に、
桜たちと過ごした朝を、
焦がれるように思い出しました。
彼女たちが根を張る町で、
彼女たちが吐く四季折々の息を呼吸して、
7年間くらした私。
だから私の細胞には必ずや、
7年分の桜色のエネルギーが
染みこんでいるはずなんだ。
再びの雪が冷たく吹雪く札幌で
窓の外の景色に縮みあがりながら、
そう自分に言い聞かせている、今日の私です。
2014年4月5日・土曜日
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