2014.5.19 mon

ファッションばんざい!

あなたは彼のこと、ご存知ですか?

ビル・カニングハム、85歳。

アメリカ合衆国で
発行部数第3位と言われる新聞
ニューヨークタイムズで、36年前から
人気ファッション・コラム”On the Street
社交コラム”Evening Hours” を担当し、
50年もの間、
セレブも無名の労働者も
分け隔てなく愛のまなざしで写し撮ってきた
名物フォトグラファー。


NYの流行はこのコラムが作っていると言われ、
アメリカ版ヴォーグ誌の編集長
アナ・ウィンターに、

「私たちは毎朝、ビルのために着るのよ」
と言わしめるほどの有名人でありながら、
その素顔はほとんど知られていなかったという
彼を描いたドキュメンタリー映画
「ビル・カニングハム&ニューヨーク」
を見て、思わず心で
スタンディングオベイション!


ファッションは、
見る人の視線によってより輝くんだなぁ!
と、彼の温かで公平でブレのないまなざしに
胸いっぱい。

「見ること」と「見られること」の
両方があってこそ成り立つ
表現の真理を再確認し

一人では不完全な人間の本質を
愛しく感じるとともに、

「衣服を身にまとう楽しさ」を
あらためて呼び覚まされた作品でした。


見終わったあと想ったのは、父のこと。

私の父は以前
テキスタイル(布地)デザイナーをしていて、
自分でデザインした布地で
紳士服のデザインもしていたのです。

何があったのか、私が高校生のとき
いきなり「オレの時代は終わった」と宣言し、
父がファッション業界と一切関わらなくなって
早ウン十年…

最近では体調もすぐれず
めっきり元気がなかったのですが、
なんとそんな
がつい最近、
「同世代シニアが着たくなるメンズ服を
 デザインしている夢を見たんだよ」
と弟に語ったそうなのです。


高校を卒業して紡績工場に入社後、

繊維にまみれて工場で働きつつも、
デザイナーを夢見て東京の専門学校
桑沢デザインスクールの夜間部に入学。

卒業後、師事した師匠が
当時全盛期だったグループサウンズの
歌手の服をデザインして
もてはやされたのを機に
横暴化し、
父は
堪忍袋の尾が切れて独立(笑)。

限られた有名人のためではなく、
ふつうの人々をもっとオシャレにしたい!
という心意気で、
オーダーメイドクオリティの服を
庶民の手の届く価格でつくるために
一匹狼でモリモリ働き、

デニムの素材でオシャレなスーツを作ったり、
ハイクオリティなオリジナル織りのウールで
一味違う個性が光る小粋な紳士服を
老舗の紳士服店に卸したりしていた父。

私は小中学生の頃、
そんな父の仕事部屋に入り込み、
黙々と型紙を切る父の足元に座り込んで
海外から届くファッション誌のページを
ワクワクしながらめくるのが至福のひとときで、
大きくなったら父の後をついで自分も
ファッションデザイナーになるものと思い、
小学校の卒業文集に
「将来の夢はデザイナー」
と書いていたのでした(笑)。



父は今、78歳。
78歳でデザイナーに復活したら、
最高にクールだよ、お父さん!

日本のおじさん・おじいさん界を
ファッションの力でステキに変えて、
一緒にビルに会いに行こうよ!

なーんて、
これって娘バカ?と思いつつも、
久々の晴天とともに、
またまた新たな野望がムクムク
芽吹いてきた、今日の私です。


2014年5月19日・月曜日