2014.8.3 sun
きごころ。
昨日更新するはずだった「こだま」を、
136回目にして初めて
一日持ち越してしまいました。
その理由を
思い切ってつづります。
*************
昨日、友達に、ヒミツの森に
連れて行ってもらいました。
そこには立派な
ツリーハウスが建てられていて、
それをセルフビルドした
紳士にもお目にかかり、
そのツリーハウスを
丁寧に案内していただいたあと、
森の中で心地よい風を感じながら
ツリーハウスに興味を持つ方々と
おいしいランチをいただきました。
みなさんとのご縁はとてもありがたく、
森の中には緑のそよ風が優しくふいて
心地よいはずなのに、
私は、とても
考えさせられてしまったのです。
なぜなら、
その立派なツリーハウスを
支えている木々には
太いボルトが打ち込まれ、
私にはとても苦しそうに見えたから。
「木は傷つかないのですか?」
と尋ねると、
紳士はこう答えました。
どんなやり方をしたとしても、ツリーハウスをつくれば、木は傷つきます。
でも、森の中にふつうに家を建てようと思ったら、地面を平らに整地し、土台をつくる段階で、地中に張り巡らされている木の根をズタズタに切ってしまうことになる。
だからそれよりも、木を生かした状態のまま、こうしてツリーハウスを作る方がまだいいのかな、と思ってね。
ツリーハウスを支える木々は、丈夫なものでなくてはなりません。弱い木が1本でも入っていると家の重さを持ちこたえられない。元気で丈夫な木々が集まっている場所を選んで、木にとって大切な表皮の近くをなるべく傷つけないようにボルトを打ち込むんです。
私は、
とても複雑な気持ちになりました。
都会ぐらしに疲れ
自然の中での癒しを求めて
森を手に入れた人々が、
木々を傷つけていることを承知で
別荘としてのツリーハウスを
森の中につくっている、
ということに、
どうしても矛盾を感じずには
いられなくて…
幹に太いボルトを打ち込まれた
5〜6本の木々たちが円になって、
重い一軒の家を互いの胸のボルトで
支えているのだと思うと、
私は自分の胸のまん中を
ボルトで貫かれているように感じ、
苦しくなってしまいました。
「ステキだね〜!」
「気持ちいいね〜!」
と目を輝かせている皆さんの中で
私は心がこわばってしまって、
本心を口にすることが
できませんでした。
私をそこに
連れて行ってくれた友達も、
皆さんの反応を
うれしそうに聞きながら、
ここを活用して楽しむための
いろんなアイデアを
目を輝かせながら語っています。
彼女の目は澄んでいて、
優しく、賢い、ステキな女性です。
そんな皆さんの中で
ひとり、どうしても同意しきれず
苦しい気持ちになりながら、
私は心の中で、
問いかけが止まりませんでした。
「痛そうには見えませんか?
痛くないでしょうかね…」
と。
「どうしたら木々を傷つけることなく、
木々と命の交流が
できるのでしょうね?」
と。
批判ではなく、単純にそう尋ね、
語り合いたかったのです。
いや、違うか…
今でこそ批判の気持ちは消えましたが、
あの場ではきっとそれよりも
ショックと批判の気持ちが
勝っていたから
素直に問いかけることができず、
心がこわばったのでしょうね…
こわばった私の心の中で、
先日うかがった道東で
バイオダイナミック農法の
酪農をしている
キャンベルさんの言葉が
こだましていました。
「牛が大好き」と言いながら、牛にとって大切な一部である角を切って、狭い牛舎に閉じ込めている酪農家は大勢いるの…私には、なぜそれで牛が好きと言えるのか、不思議でたまらない…
帰宅後、
心の中にある想いを
相方に話しました。
話してから、
このコラムを更新しなくてはと思い、
この想いから逃げたくなくて、
心にあったものや伝えたいことを
何度も推敲して書きました。
が、どうしても批判の気持ちが
先立っている気がして、
そのままアップしても
伝えたい核を伝えられる文章に
なっていないように思え、
夜もどんどん深くなって
頭も朦朧としてきたので、
「非公開」にして、
ふとんに横たわりました。
今朝、起きてから
そのことを相方に伝え、
昨夜の文章を読んでもらうと、
海外には猛獣や毒虫から身を守るために木の上に暮らしている人々がいるよね。彼らはどうやって家を建てているんだろうか。
彼らはボルトは入れていない気がするし、もし入れていたとしても、それが彼らが選んだ他の生き物たちとの共生の道なら、俺は理解できる気がする。
問題は木にボルトを打ち込んでいることではなくて、宮沢賢治の『狼森(オイノもり)と笊森(ざるもり)、盗人森(ぬすともり)』のように、人が森に問いかけ、交流し、感謝を返す、ということをしていないように思えることなんじゃないのかな。
と、意見を伝えてくれて、
私も、「森びとの会」の人々の
家づくりには共感・尊敬できるのに、
なぜあのツリーハウスには
苦しくなったのかを考えました。
そして、あらためて、
はっきりと思いました。
私はこのことを、
そのツリーハウスに
連れて行ってくれた友人や
ツリーハウスをつくったあの紳士と
深く語り合い、
森と共生できる最善の道を
探りたいのだ、と。
疑問を投げかけ対話しながら、
あのヒミツの森を、
私も、彼らも、心から喜んで
森のいのちと呼吸し合える場所に
できたら、どんなにステキだろう。
ほんとうの気持ちを押し殺し、
心のどこかに批判と怒りを抱えたまま
やりすごすのではなく、
お互いの気持ちを交わし、
いっしょに心から笑顔になれる道を
探りたいんだ、と。
ボルトが痛そう、というのは、
私の思い込みなのかもしれない。
ツリーハウスについて理解したら、
木の性質や木ごころや、
ツリーハウスを作っている人々や
あの紳士の想いややり方を
正確に理解でき、
共感できるのかもしれない。
今朝、宮沢賢治の
『狼森(オイノもり)と笊森(ざるもり)、盗人森(ぬすともり)』
を読んで涙がこみ上げ、
「そうだ!私が求めていたのは、これなんだ!」
とわかった今こそ、
素直な気持ちで語り合える
気がするのです。
私は、木とも、森のいろんな命とも、
そこを切り拓こうとしている人々とも、
等しく対話し、
「木ごころ」と「気心」を
交し合いたいんだ。
あのツリーハウスの森を、
この物語の森のような場所に
できたら、どんなにステキだろう…
今やっと、心からそう思い、
あちこちに乱れていた
自分の気持ちが胸のまん中で
ひとつになり、
心に陽が差し込んできました。
この文章をここに公にする前に、
友人と紳士に話をした方が
いいのだろうか…
私が逆の立場だったら、どうだろう…?
と自問しましたが、
「この文章なら、不特定多数の方々への
問いかけとして発信してもいいと思う」
とやっと思えたので、
深呼吸して
アップさせていただきます。
友達と紳士の目を見て、
声と心を交し合うための
大切な第一歩として。
2014年8月3日・日曜日
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≪森のなかまNews!≫
なんと、仙台の森びとさんも
ツリーハウスを作っているとのこと!
一つ前のこちらの記事の中の
「木に負担をかけないように」
という一文と、建て方の様子の違いに
目が留まりました。
森びとさんが建てるツリーハウスには、
木を傷つけない技があるのかもしれません。
作り方をぜひ、尋ねてみようと思います。
↓
今日の森びとさん(↓クリック!)
【森のふんわり広場】-ツリーハウス らせん階段-
by サスティナライフ森の家
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