2014.8.27 wed
クリックトリップ⑬ドメーヌ・タカヒコ
取材仕事の一環で、日本の人気ワイン作家
ドメーヌ・タカヒコさんのぶどう畑を訪ねました。
「ドメーヌ」とは、ぶどうづくりから醸造まで
ワインづくりをトータルで行っているつくり手、
という意味のフランス語だそう。
ぶどう畑に化学農薬・化学肥料は極力使わず、
酵母・亜硫酸など、一般のワイン醸造には
当たり前に使われている添加物も、ゼロ。
北海道余市町の気候風土に沿った
自然なつくり方で栽培・醸造される彼のワインは、
決して安くないのに、いつも売り出し直後に完売、
という人気ぶり。
余市出身のワイン好きの友人に誘われて
札幌のイタリアンレストランで
一度いただいたことがあるのですが、
味と香りが刻々と変化していくのがわかる
「生きたワイン」として記憶に焼きついています。
一口ごとの変化が新鮮でおもしろく、
どの一口も体にスーッとなじんでゆく自然な美味しさ。
北海道食材を使った一つ一つの料理との
マッチングにもそのつど違う感動があり、
2年前のそのひとときは私にとって
思い出すだけで芳醇な楽しさが香り立ってくるような、
“ワインをめぐるエンターテインメント体験”でした。
タカヒコさんいはく、
ワインは、みそ・しょうゆと同じ“発酵食品”。みそやしょうゆに風土ごと・家庭ごとの味があるように、ワインにもその土地やつくり手の個性が現れます。
ワインの美味しさはぶどうで決まるし、ぶどうの良し悪しは、人で決まる。
もちろん、ぶどうの栽培にふさわしい土壌も重要ですが、同じようにつくり手の人柄や考え方も大きく影響してくる。長年ワインづくりに携わり海外でも修行を重ねてきましたが、ぼくはそう感じています。
もともとはフランスの食文化に学ぶことから始まったぼくのワインづくりですが、日本でワインをつくるならフランスのマネをする必要はなく、日本ならではの個性を持つワインづくりをすればいい。
日本にはフランスとは違う変化に富んだ個性豊かな気候風土があり、この四季や湿度のおかげで、微生物の種類や数もどこよりも多い。その個性を活かせば、フランスワインとは違う個性を持つ、繊細で複雑な余韻のある旨味が醸し出せるんです。
フランスのワインづくりの哲学として「テロワール」という言葉があり、それには、「風土・地域性・地域文化」というような意味合いがあるのですが、ぼくはこの哲学が、とても大切だと思っているんですね。
他国にはないこの“風土の誇り”を、日本の食文化として受け継いで行きたい。ぼくはそんな想いで、この土地でワインをつくっています。
いや〜、カッコイイ!
タカヒコさんのファンは全国にいて、
遥か遠方から農作業のボランティアに
通っている人もいるくらい。
ふだんは東京で暮らす
私の友人もその一人なのですが、
その気持ちがわかるような気がしました。
風土の個性を活かすことで、生かされてゆく。
フランスから学んだ哲学と誇りを
おすそ分けしてくださった
タカヒコさんに感謝をこめて、
私もこのことを自分の日常に
醸し出していきたいと思います。
2014年8月27日・水曜日
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≪森のなかまNews!≫
風土の誇りを醸す職人技が、
ここにもキラリ!です。
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