Vol.4

古民家ライフ①“山形遺産”、ここにあり。

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 「古民家ライフ(株)」は、“森からうまれ森へかえる家づくり” を目指す家づくり集団 「森びとの会」の、山形エリアを受け持つ会社。  社長はこの方、まだ40歳手前の高木孝治さん。トレードマークの作務衣スタイルがよくお似合いの、大工、設計士、経営者…と様々な顔を持つ、四人家族の大黒柱です。
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ご自宅を兼ねた事務所は、もちろんお手製。「ここも山形市内?」と意外に思うほど緑豊かなエリアに、ゆったりと建つその建てものは、やさしく心地よい東北の木の香りに満ちていました。
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「この家を見て家づくりの依頼を決める人が多い」というご自宅兼事務所の一番の自慢は、地元・東北産の木材をふんだんに使っている点もさることながら、「軒が長いこと」だそう。

軒を長くしてよかったと思うことはたくさんあります。雪下ろしは必要ですが、そのぶん出入りする時も雨や雪に濡れずにすむし、壁にも雨・雪・直射日光が当たりにくくなるので、家が守られ、長持ちしますからね。


なるほど、さすが数多くの古民家に触れ、丈夫で長持ちする家の構造を見てきた大工さんならではの着眼点。高木さんはさらに、古民家の移築や改装などを通じて感じてきたことを、こんな印象的な言葉で語ってくれました。

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古民家は、新築の家作りにも参考になる貴重な知恵や職人技のストックなんです。木の組み方や刻み方、木製くさびの作り方などから始まって、それはもう説明しきれないほど、どこもかしこも生きた教科書だらけ。大層なお城なんかじゃなく、名もない人が建てたふつうの古民家が、ですよ。だからむやみに壊してしまうことなく、一軒でも多く活かす道を見つけたいんです。

そういうのを見るにつけ、「あぁ、昔の大工さんもがんばってつくったんだべなぁ…!」と胸が熱くなります。ありがたいことに山形には、そういう古民家がまだまだそこらへんにあるんですね。私は、名もない職人さんたちが残してくれたそんな遺産から学んだ知恵や技術を、現代の新築の家作りにもどんどん活かしていきたいと思っています。


古民家再生の取り組みをしていく中で、茅葺屋根を葺く作業も3人のチームで行っているという高木さん。

古民家を守りたいと言ってるだけじゃ実現できない。技術を身につけることが必要ですからね。茅葺の技術を持つ人はほとんどが70過ぎの先輩たち。受け継いでいかないとなくなってしまいます。

私は自分がかかわれる範囲で茅葺きの手元(下働き)をしていて茅葺の技術を体得しているわけではありませんが、何だってその気になればできないことはない。素人だって、やってるうちに覚えていくもんだと思っています。

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東北の木を使った新築の家づくり、古民家の解体・移築・保存活動や萱葺き仕事、若い大工さんの育成、地元活性化のための交流活動や冊子制作… と、体がいくつあっても足りないくらいの忙しさにもかかわらず、家庭用の米作りや野菜作り、暖房用の薪作り…と、日常のライフワークも欠かしません。

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ご自宅兼事務所からひとっ走り。道を隔てた向こうが、すぐマイ田んぼです。

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おやまぁ!素人仕事とは思えないキレイさですね〜!

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たわわに実って、美しい!

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刈り取って、はざがけ作業。家・米・薪を自給する姿は、まさにトラディッショナル・ジャパニーズ!

家、米、エネルギーが自給できれば、最低限生き延びられると思うんです。昔はみんなやってたんだから、今だってできる。知恵と技術さえあれば、木材だって燃料だって、わざわざ外国から輸入しなくても暮らせるんですよ。


古民家だけでなく、風土に根ざし、自然の恵みを糧として生きていた昔の日本人のくらし方そのものを受け継ぎ、日々実践している高木さん。一貫したその姿に、「筋の通った生き方」のカタチを見せてもらった気がしました。


では、そんな高木さんの、お手製のご自宅兼事務所を拝見してみましょう。

まずはこちら。「古民家?!」と見まごうような外壁ですが、これは町内にあった蔵を解体したときにもらってきた土壁を材料にして、壁材を作って塗る、というワークショップを行い、参加者みんなで塗った土壁だそうです。
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壁は「荒壁→中塗り→仕上げ」の3ステップでつくられ、これは荒壁がそのままむき出しになっている状態とのこと。

このワークショップは実験的なトライアルで、混ぜるワラの量が少なかったため乾いたらひび割れてしまったそうですが、建てて5年経った今も、何の問題もないとのこと。自然素材の力強さに驚かされます。

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昔の蔵の土壁と水とワラをみんなで踏んで、マゼマゼ、コネコネ。楽しそうで気持ちよさそうですね〜。

それにしても、水とワラと人力で再生できるとは、土壁ってすごい!昔はこうして近所の人々と力を合わせ、土地にある手近な素材で家をつくるのが当たり前だったんでしょうね…。忘れ去っていた日本人の基本を呼び覚まされるような気がします。


さて、ではこちらをクリックして、いよいよお宅の中へおじゃましてみましょう。