Vol.6
ビオプラス西條デザイン①デザインに、“いのち”をプラス!
「ビオプラス西條デザイン」は、“森からうまれ森へかえる家づくり” を目指す家づくり集団 「森びとの会」の北海道エリアを受け持つ設計事務所兼工務店、アーキテクトビルダーです。
「Bio」とは、生命・生物・生きること…を表す言葉。「いのちを大切にする、くらしのデザイン会社でありたい」という想いが、社名に表現されています。
本社オフィスは札幌市北区百合が原に、支社オフィスは北海道の伊達市にあり、社長と専務をつとめる“西條兄弟”が、それぞれのオフィスをベースに連携しています。
こちらが、社長でお兄さんの西條正幸さん。
こちらが伊達の支社を受け持つ、専務で弟さんの西條晴彦さん。
身も心もでっかい、まさにビオプラス西條デザインの大黒柱、一級建築士の山田さん。
遊びごころのあるユニークな設計プランが得意な若手設計士、山端さん。
西條デザインを陰日向に支える“ひまわりガール”、アシスタントデザイナーの村上さん。
ビオプラス西條デザインが事務局の「エコビレッジ実行委員会」で、コーディネイター役などをつとめる外部スタッフの建築士、大橋さん。
プラス、経理担当の西條さんの奥様と、現在建築を勉強中の息子さんの計8名が、「ビオプラス西條デザイン」を支える仲間たち。
本社オフィスがあるのはJR「百合が原駅」から徒歩5分の、「百合が原公園」の目の前で、この公園は北海道名物のサイロ(農産物や飼料の倉庫)と、広大な敷地に季節ごとに咲きほこる多種多様な花々が人気の名所。オーガニックなくらしを提案する会社にピッタリの、ステキで気持ちのい〜いロケーションなのです。
ここに「ビオプラス西條デザイン」の本社オフィス兼ご自宅ができたのは、今から17年前の1997年のこと。
ツタがからまるヨーロピアンな雰囲気の外観と、目の覚めるようなグリーンの看板が目印です。
敷地内には、生きたグリーンたちがいっぱい。
外壁の下には、背が低く手入れもカンタンなシソ科のハーブ、タイムの群生が。もう少ししたら小さな花をつけるそうです。
扉のそばにも、ツタの若葉。植物に包まれたオフィスですね。
実は、社長の西條正幸さんは、2010年に北海道新聞で「西條さんの菜園便り」を連載し人気を博していた人。仲間たちと借りた広大な菜園で農薬や化学肥料に頼らない野菜やハーブ作りを楽しみながら、地に足のついた「エコライフ」を実践してきた “菜園ティスト”でもあるのです。
「エコ、エコ」と声高に叫ばなくても、庭先で野菜づくりをすることが日常になれば、天気に敏感になったり、虫にも慣れていったり、ただのジャマものでしかなかった落ち葉が腐葉土づくりに使えるお宝に見えてきたり(笑)、自然とエコなくらしになっていくんですよ。野菜づくりを始めてみて、ぼく自身が身をもってそう気づいたんです。
月の満ち欠け情報や、種まき時期のお知らせをはじめ、菜園づくりに役立つ情報が満載の、1月から翌年の3月まで使えるオリジナルカレンダー。セットで「菜園ノート」もあり、書店やインターネット(菜園生活.com)などで買うことができます。
うちの会社や森びとの会のメンバーの仕事は、単なる“家づくり”ではなく、“くらしのデザイン”。家づくりを通して、すこやかな生活を実現するお手伝いができれば、その結果、自然環境も自ずとすこやかになっていく、と考えています。
自然素材を使った家づくりの情報がつまった西條さんの著書「エコスタイルで暮らす やさしい自然派住宅(北海道新聞社刊)」
家づくりにはたくさんの要素が含まれていて、建材も組み込む設備も多い。それが自然素材であるかどうかや、輸送の距離がどれくらいかかっているかなどで、住む人の健康はもちろん、くらしを取り巻く環境全体への影響も大きく変わってきますからね。
健康のためにオーガニック野菜を好む人が増えていますが、食べものより頻繁に体内に取り入れているのが、“空気”。その質に大きな影響を与えているのが、建物に使われている素材です。食べる回数と呼吸の回数を比べてみれば、オーガニックな「住まい」がどれほど必要であるかに、気づけるのではないでしょうか。
オーガニックな家づくりは、オーガニック食材だけでフルコース料理をつくるようなもの。ケミカル素材や多くの「ホンモノ風」が横行している現代では、「本当にオーガニックな建材」を見つけるだけでも一苦労ですが、17年前、「人の体に負荷を与えない住宅をつくる」と決意した西條さんは、「自然素材の研究実験室」をつくるような気持ちでこのオフィスを建て、様々な自然素材を試し、使い心地を確かめてきたとのこと。
では、いよいよ、そんなオフィスの中へおじゃましてみましょう。
扉を開けて中に入ると…
床には、北海道産のブナとナラを自然塗料で色とりどりに着色した無垢の木のフローリング材が、パッチワークのように並んでいます。
その上に置かれた家具も、無垢の木でつくられたもの。
壁部分にしつらえた木の棚には、木材、壁材、床材、塗料…など、さまざまな自然素材の見本がビッシリ。
こぢんまりとした空間ながら、まるで「自然素材ミュージアム」のようです。
ちょっと変わったルックスの壁は、リボン状に削った木をコンクリートとセラミックの粉で固めた下地材の「木片セメント板」に、水性塗料を塗って仕上げたとのこと。
ふつう、鉄筋コンクリートの建物の壁は、使い捨ての合板でできた型枠にコンクリートを流し込んでつくるのですが、西條さんは使い捨ての型枠を使う代わりにこの木片セメント板を室内側の型枠として使い、それをそのままラフなデザインとして残したのだそうです。
様々な研究を経て、西條デザインが今、壁づくりにいちばん多く使うようになったのは、左官コテで仕上げる塗り壁仕上げ材。家づくりへの参加を希望する建て主さんたちに「素人でも塗りやすい!」と人気の『うみびと』は漆喰風のホタテ塗り壁材で、産業廃棄物としてやっかいもの扱いされていた道産ホタテ貝の殻を有効活用すべく、業者さんと共同開発したオリジナルの自然素材。
その他にも、旭川の土とホタテ貝殻をミックスした『土壁風仕上げ』、調湿性能の高い土と火山灰が主原料の『珪藻土壁』、抗菌性を重視したゼオライトと消石灰の『健康塗り壁仕上げ』など、用途や好みに合わせ、壁の仕上げ材だけでも様々。どの仕上げ材料も、セルフビルド志向の施主さんにも安心して扱ってもらえるよう心して開発した、こだわりの天然素材です。
今の西條デザインの家づくりには、 “自然素材実験室”でもあるこのオフィスでいろいろな素材を試した結果、吟味され、選りすぐられてきた様々な自然素材が、あちこちに活かされているのですね。
住宅誌「住まいの提案 北海道」に連載中の、住まい手の声を聞く家庭訪問記事『ECOさんが帰る場所』最新記事。(クリックで拡大されます)
が、実はそんな西條さんも、このオフィスをつくる前は、今とは正反対のケミカルな建築資材で、「ハリボテのような建築物」をジャンジャンつくっていたのだとか。
いったい何がきっかけで、「ケミカル建築」から「オーガニック建築」にシフトすることになったのか?そしてこれまで、どんな想いで、どんな「くらしのデザイン」をつくってきたのか?
ドラマチックなビフォアー&アフターものがたり、次回もどうぞ、お楽しみに…!
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