森びと紹介

亀津 雅

亀津建築

大工の跡継ぎとして何でもやってきました

大工の二代目として生まれました。太い梁や柱を使い、屋根に瓦を葺き、座敷や縁側のあるような伝統的な「本屋普請」の家をつくる、いわゆる「昔ながらの工務店」です。小さい頃から作業場で遊んでいましたから、大人になったら家業を継ぐものだと思って育ち、工業高校から建築専門学校に進学、在学中に二級建築士の資格を取得し、あたりまえのように父の工務店に就職しました。

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亀津建築 事務所

工務店の跡継ぎとなるべく、20才ほど年上の番頭さんについて、図面描きや現場監督の見習いを始めたわけですが、大工仕事や雑用まで、何でもやらされました。原木から太鼓梁を作るのなんて、一日に何本やったことか! 10mもある松丸太の皮を、でっかいピーラーみたいなのでむくのですが、節のまわりは亀の甲羅みたいにかたいんです。なんとか皮むきが済むとこんどは手斧で両脇を落とすんだけれど、節のところでパーンと斧が跳ね返されてね。手なんかぼろぼろでしたよ。

改修工事の現場では、既存のトイレや風呂を撤去もよくやりましたね。モルタルやタイルをハンマーで壊し、そのガラを一人でえっさえっさスコップでトラックまで運びました。その量が2tトラック分2杯分。もう、ほんと重労働でしたよ。

その頃は、年間10棟引き渡しという勢いで仕事してました。常雇いの大工が10人も居て、工場では年中、次の現場の材を刻んでいましたね。日が暮れて現場からクタクタになって帰ってくると、作業場ではまだ刻んでる。事務所が作業場のすぐ目の前にあるものだから、スーッと素通りしてしまうわけにいかなくて、手伝ってましたね。くたびれはてて、休みの日曜は寝てることが多かった。いや、木曽川でジェットスキーしたりもしてたかな。

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事務所の手前にある作業場。200坪の広さがあり、大型の木工機械が並ぶ

自分の代になって方向転換

学校時代からやってきた図面描きに加え、お客さん対応や見積もり、人や材料の手配なども番頭さんに教わりながら身につけていったんですけれど、この番頭さんが、僕が27歳の時に独立してしまって、いきなり彼がやってきた仕事をすべて任されるようになりました。その番頭さんがお客も連れて行ってしまったので、引き渡し棟数がいきなり年間4〜5棟に減ったりもして、とにかく苦労しましたね。

その頃から、これからの亀津建築はどうあるべきか、考え始めました。そんな中で2003年、雑誌「チルチンびと」で「地域主義工務店」の会が発足したことを知ったんです。産地の明らかな素材で、設計者・工務店・ 大工・職人の顔が見える、安全で良質な木の家づくりを実現することで「地域に根ざした住文化を創造し、資源循環型社会を目指す」という考え方に、深く感銘を受けました。当時、岐阜県にはまだ会員は一社もいなかったのですが、編集部に電話をかけて、編集長の山下武秀さんに直接会いに行きました。

自分がいいと思う家づくりから
木の家を望む人にとっていい家づくりへ

それまでも地元の無垢材を構造材に使った、昔ながらの職人の技で一棟一棟、ちゃんとした家づくりをしてきたのですから「地域主義工務店」であることは確かなのですが、山下さんとの出会いで、大きく舵を切り直したことがあります。それは「自分がいいと思っているもの」をでなく「木の家がいいと思っている人たちが求めているもの」を意識して作る、ということです。

自分のまわりの職人は技術レベルも高いし、家づくりへのこだわりも目一杯ある。けれど、素材の確かさ、暮らしやすさ、空間のつくりかたなどについて、住まい手視点で考えてきてはいなかったかもしれない、ということに思い至ったのです。

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良い木を求めて、今では直接木材市場に買い付けに

地元産の木と自然素材だけでの家づくりへ

まずは材料の見直しから始めました。梁材にだけは米マツを使っていたのですが、それもやめ、全て国産材にしました。国産だったら何でもいい、というのではなく、地元岐阜県産で、どのように育てられたかトレーサビリティーが確認でき、防カビ・防腐剤を使っていない安心安全な木材を選ぶようにしました。地元産材を使うことは、山の再生、地産地消、省エネにもつながります。

木材以外の建材も化学物質を使わない自然素材にこだわるようになりました。ホルムアルデヒドなど有害物質を発する合成樹脂系接着剤で貼り合わせた合板や集成材の使用はやめ、断熱材も羊毛か、ペットボトルのリサイクルでつくられているパーフェクトバリアに切り替えました。

多治見は焼物の産地ですから、良い土が豊富にあります。なので、小舞下地を組み、土をつける「土壁」はめずらしいものではありません。土の「蓄熱性」の高さのおかげで夏は涼しく冬は暖かく、また壁自体が呼吸し調湿するため、家の中の空気も違います。自然な家を求める人にとって土壁は「古くさいもの」ではなく、むしろ魅力的な素材なのだということを、あらためて認識し直しました。

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亀津雅社長の弟で、専務の亀津薫

「かっこいい」木の家を作ります

父の代から受け継いで来た本屋普請の技術を用いながら、デザイン面でも、どのように木を見せるかを意識した家づくりをするようになりました。チルチンびとに掲載される施工例や、設計者の小林★★さんと組んでの仕事などから学ばせていただきながら、やすらぎが感じられつつ、すっきりとした、スタイリッシュな空間を構成するように工夫しています。

自分なりの設計施工のスタイルができているとは思うのですが、それがどういうものなのか、ひと言であらわすのは難しいですね。あえて言うならば「木のよさを生かしつつ、かっこいい」家かな。この「かっこよさ」とは、梁と柱の太さや高さのバランス、ちりまわりや見つけといった細かな寸法、狭いところから広いところに出た時の空間の広がりなど、さまざまな要素から醸し出されるものだと思います。

柱や梁といった構造体を積極的に見せる「真壁づくり」だと、男らしい力強い、白い壁。床・窓枠に無垢の木で囲まれる「大壁づくり」はナチュラル・やさしい女性的な雰囲気になります。玄関からリビングに足を踏み入れると、吹き抜けの空間が大きく開放的に広がり、目をひくところに薪ストーブが置かれる、などといった、ドラマチックな展開も意識しますね。詳しくは、実際の施工例をご覧ください。

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事務所の暖房は薪ストーブ。お客様とはゆらめく炎を見ながら打ち合わせ

職人同士のやりとりや見学会を通して
さらによりよい家づくりをめざして

設計施工は、気心の知れた現場の棟梁と直接の打合せができるので、細かい部分まで自分の目で確かめながら進められるという利点があります。とはいえ、内輪であることに甘えることなく、高め合うような関係をつくることも大事です。弊社の家つくりは大工以外の職種を含め、20人前後の職人さんを中心に支えられていますが、年に数回、見学会の前のタイミングで自分たちの手掛けた完成した住まいに集まり、さらに高みを目指し、日頃の仕事の進め方や工程について意見を出し合っています。

お客様からご意見をいただくことも少なくありません。現場見学会への来場者の声に耳をかたむけるというやり方も「地域主義工務店」に加盟して以来取り入れていますが、一般の方からの声や反応をいただく貴重な機会となっています。いくつも工務店をまわってくる方が来られる場合も少なくなく、そうしたお客様はよく勉強しておられますから、学ばせていただくことが多くあります。

おかげさまで「ぎふの木で家づくりコンクール」優秀賞を数回、そして第三回 チルチンびと住宅建築賞を受賞することができました。これからもさらに良い住まいつくりを目指していこうと考えています。

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玄関先に置かれている、鉄でつくった看板


施工例

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    あま市の家

    清らかな潔い家

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    長久手の家

    自宅もお店も自然な雰囲気で

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    久々利の家

    光が燦々と降る 窓の家

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    千旦林の家

    要素をコンパクトに凝縮

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    東神の倉の家

    奥行きのあるウッドデッキの家


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