伝統技術をもった職人集団を抱え、
無垢の木と自然素材の家づくり
エコロジーライフ花は、東京近辺で国産無垢材と自然素材を使い、日本の大工職人の伝統建築技術を用いた家づくりをしています。無垢材や自然素材建材の入手できるルートがあり、無垢材を活かす確かな技術をもった職人集団がいてこそ、そのような家づくりが実現出来ています。
家が人を不健康にする?
という大問題
美大で建築を学んで卒業した後、ひと通りのことを、ある地域工務店で学び、住宅を手がけたい!という思いで独立して「直井建築工房」を立ち上げました。自然な木の家づくりをしたいと、漠然とは思ってたのですが、まず、最初にぶつかったのが「健康を害する建材がある」という大問題でした。
当時は、効率再優先で工業製品として出まわる新建材が、多用されていく一方で、建物が人の健康を損なう「シックハウス」症候群が大きな社会問題になってきていました。我が家でも住んでいた公団住宅を木でリフォームしたところ、1歳半だった子どもがひどいアトピーになりました。「木の空間にしたのに、なぜ?」と、調べたり勉強会に出たりして、学んでいく中で、合板に使われている合成糊が原因だろうと分かりました。自分が娘の加害者だったのか?と、ショックでした。
とはいえ、インターネットもまだ普及しておらず、「シックハウスにならないためにどうしたらいいのか」という情報もごく限られていた時代です。手探りで勉強会に出たり、自分なりに情報を集めるしかありませんでした。
人にも環境にも
負荷をかけない建築をめざす
ちょうどその頃ドイツの「バウビオロギー」という考え方を日本に紹介するひと環境計画の高橋元さんとの出会いがありました。バウビオロギーとは、人と環境とは相互に作用し合うものであるから、人間が人工的につくり上げた環境が、地球上の生命体を損なうものであってはいけない、という思想です。家づくりの原材料の採集から製造、運搬、計画、施工、解体、再生にいたるまで、そのすべてのプロセスにおいて、地球環境に負荷を与えない、自然の循環を大切にした家づくりをしよう。そのような思いを決定的にしました。
ひと環境計画主催の環境先進国であるドイツへのエコバウ建築ツアーにも参加しました。そこで、ドイツの市民団体が行っている「オコテスト」という指標の存在を知りました。「オコテスト」とは、人体や環境への負荷を与えない度合いを測る指標で、それに基づいて、ドイツでは安全な建材が多く紹介されています。それらの影響を受け、自分でも、建築に使う素材、工法を、かなり意識して選べるようになりました。
揮発性有機化合物を使う化学塗料ではなく、自然な植物や鉱物から作られた塗料を。青柿を発酵させ、防腐効果を得るために日本人が木材や和紙に塗布してきた伝統的な自然塗料である「柿渋」。壁紙にはビニルクロスの代わりに、月桃紙を。グラスウールや発泡ウレタンでなく、羊毛断熱材を。ひとつひとつを吟味していきました。選ぶ基準となるのが「作る人にも優しい」ということでした。施工者が気持ちよく、健康に仕事できるということは、「住む人にも優しい建材」なのです。
エコショップ「エコロジーライフ花」を
併設した工務店として
そのようにして確かめたものを揃えていくと、同業者から「自分のところでも使いたい」という声を聞くようになりました。それならば、と、自分たちが仕入れるものを仲間に分けるようなつもりで「エコショップ」を始めました。その名前が「エコロジーライフ花」だったんです。
「直井さんは、エコショップから工務店になっていったの?」と訊かれることがありますが、逆です。「直井建築工房」で、人が健康に住める家づくりをしようと思ったら、その家づくりに使う材料を選ぶところから始めばなければ、ならなかった。その結果として、エコショップを併設することになったのです。「エコロジーライフ花」という自然食品屋のようなネーミングからも分かるように、はからずも、この併設したショップが自然なライフスタイルを提案することになってもいくのですが!
産地直送でかなえた
無垢材の調達
とはいえ、自然な塗料や壁紙などの仕上げ材だけで家はつくれません。大事なのは家そのものの骨格。エコロジーライフ花では、国産材の無垢材を職人技術で組み上げてつくっています。
無垢材とは、山に生えている木を伐採し、柱や板や床材に製材した材木のこと。今では新建材や、木を原材料に工場で糊で張り合わせた合板や集成材がたくさん使われるので、そのような材木をわざわざ「無垢材」と呼ぶようになったのです。
防虫剤などの化学処理をしていない国産の無垢材は、東京の材木店ではなかなか手に入りません。道が開けたのは南会津の館岩に別荘を建てるために行き来していた時にたまたま入った「きこりの店」との出会いからでした。そこは、木材や家具などの小売りをしているショップなのですが、「オグラ」という会社の店。木材の伐採、製材から施工、家具製作まで手がけており、原木も売り、製材もするとのこと。早速、一棟分まるごと、頼んでみました。
その後、燻煙乾燥材を出す宮城県の栗駒、岐阜の東濃といった木材産地と直接のやりとりが増え、コストを抑えながら使うルートを確保しています。
職人集団をかかえる
工務店に成長
創業当初は、設計事務所としてスタートしたのですが、無垢材を扱う伝統的な木造建築の技術をもった大工たちを抱える工務店へと成長しました。そのきっかけとなったのが、東京ではなかなか出会えなかった、手刻みをする大工たちが南会津にあたりまえにいると知ったことでした。
南会津にも加工場をもうけ、木材調達と刻みをしてもらい、東京に持って来るというリレー方式から、手刻みのできる大工たちとの恊働を始めました。多くの現場を通じて、自社の大工たちも育って来て、今では、東京でも手刻みをする若手が、しっかりと存在感を放っています。手刻みの仕事があることが、その技術を育てると実感しています。
エコロジーライフ花では、大工のやる気を刺激する仕事しかしません。プレカット材や合板は使わないのは勿論、より上をめざせる、チャレンジのある仕事をしてもらっています。職人がやりがいをもつことが、結果的には仕上がる家の質を向上させます。家そのものだけでなく、キッチンや家具も大工がなるべく手作りします。量産とは逆方向を行く、一軒一軒の家づくりが腕をふるえる場であることは、職人技術の伝承にもつながるのです。
まずはスカイツリー近くの
「エコ花」へ!
衣食住はひとつのものです。エコロジーライフ花は、家づくりはもちろん、みなさんの生活がより自然でシンプルになるためにまるごと関われる存在でありたいと願っています。そのため、ショップでは、創立当初に扱い始めた建材に限らず「シンプルな気持ちのいい生活」を支えるさまざまな分野に広がっていきました。
時間や手間をかけてていねいに作られた手作りの家具、無添加石鹸やスキンケア用品、長く使ってほしい木・硝子の器やカトラリーなども扱っています。物を売ることが目的ではありません。私たちが、伝えたい家づくりが実現する「暮らし」のイメージを、体感していただきたいのです。「エコロジーライフ花」という名前は、当社の姿勢をよくあらわしていると思います。スカイツリーが間近に見える台東区日本堤のお店に、ぜひ一度、遊びにいらしてくださいね。