竹小舞下地と土壁塗り、土佐漆喰の外壁、磨き壁の内壁に、洗出しの玄関など、手の込んだ昔ながらの仕事をふんだんに盛り込んだ伝統工法の家です。地形を活かし、庭との関係も考えた間取りで、四季を感じながら心地よく暮らせるよう配慮しました。
工事過程では、職人の間で継承されてきた伝統の技に触れてもらうこと、実際に手を動かしてモノづくりの心を学んでもらうことを目的に、一般の方を対象にしたワークショップや見学会などを開催。ワークショップでは職人と一般参加者が肩を並べて作業をし、身近で技を見たり、実際に手ほどきを受けたりしながら、竹小舞編み、土壁塗りなどを楽しんでいました。ワークショップの方も含めて、様々な人の手が加わって完成。丁寧な家づくりを通して、培われてきた伝統と人の心を次に伝える、「磨き壁のある家」です。
外壁は二階部分が土佐漆喰、一階部分は自然塗料で色づけした杉板の仕上げ。庭の緑が育つにつれて、環境に溶けこんでいく優しい質感です。
エントランスには大きな屋根をかけて、空間に余裕を持たせました。雨の日、この場所から見る路地の景色は、みずみずしく豊かです。
和室。リビングとの境にある障子を開け閉めすることで、シーンに合わせた使い分けが可能です。壁は黄みがかった“淡路土”を使用した左官仕事。
家の中心には楡(ニレ)の大黒柱。月日がたつほど、味わい深い色になります。
赤松の梁に、腕のある左官職人でないと美しく仕上げるのが難しい特殊な土壁「大津磨き壁」が見事な、二階の一室。自然素材の持つ力強さと、職人の技が堪能できます。
青森ヒバの芳香が心地よいお風呂場。一日の疲れは、ここでリセットします。