床材に県産材の杉、洗面所には高畠石、和室の床の間には深山和紙など、多くの地場の自然素材を使用している。こうした魅力的な素材や優れた技術を積極的に使うことで後世への継承につながる。伝統的な工芸としてのみならず、実際に生活の場で使われていくことが地場産業の活性化を促す。また、階段のスチールの手摺や木製の家具も地元の若手の作り手に依頼し、顔の見える家づくりを目指した。
ものづくりはお互いの顔が見えることで安心感や愛着が湧き、その後も長いお付き合いができる。山形の特徴的な気候風土に素直に呼応しながらも、現代のライフスタイルに沿った間取りやデザインを模索したこの家が今後の山形の家づくりの足掛かりとなれば幸いである。
大らかな屋根が家全体を覆う天気のいい日、デッキはリビングの一部となる。
奥様の料理スタイル、家族との団欒を考慮して作られた造作のキッチン。料理台とダイニングテーブルは天端を同じくしている。さらに食器洗い機を設置し、炊飯ジャーから簡単によそえるようなアイデアも盛り込んである。シンプルかつ高機能なキッチンとなっている。
和室小上がり。8畳ほどの和室はお客様が来た時に宿泊できるようになっている。小上がりの下には引き出しがついており、収納も十分出来る。
階段は製材所に眠っていた地松を使用。良い材料であったため表面からは釘やビス跡が見えない様に組んで造ってある。手すりはスチール製。階段手すりと玄関の取っ手は地元の若い作家に依頼して作ってもらう。
2人姉妹なので将来的には区切って使えるように入口が2か所ある。さらにロフトもあり空間の自由な使い方が出来るようになっている。
玄関に入って上をみ上げるとオリジナルのステンドグラスが見える。