山形市でも車通りの多い旧市街地(小姓町)の角地に建つ家です。昔は洋服店を営んでいた、お父さまのご実家があった場所が更地になり、駐車場になっていたところに、新築しました。
人通りも多いよく目立つところなので、外部からの視線を遮りつつ、家の中から見た時の閉塞感はないように、スリット状に木のフェンスを巡らせました。一階の外壁は、無垢の杉材にウッドロングエコを塗りました。2階は白洲そとん壁。時間を経てとても落ち着いた色になってきています。木の家がほとんどない山形の中心街において、街中のオアシスのごとく、景観に潤いをあたえる存在感をはなっています。
敷地がL型になっていて車をどこに停めたらいいか、配置に悩みましたが、建物の下屋部分の屋根を延長し、家と一体化した車庫スペースを作りました。
玄関扉をあけてすぐ右には、いつも花を活けられる奥様のために、玄関土間に水道を設けました。タイル張りの流しは、奥様が選ばれたものです。小窓のサッシの内側には、型ガラスを入れた木製建具を仕込んであります。
アウトドアや自転車が趣味の建主さんのライフスタイルに合わせて、玄関土間を延長させて、靴のままで家に入れるようにしました。とはいえ、室内領域と玄関空間とをやんわりとは仕切りたいので、格子戸とスリット壁を設けました。土間の隅においたペレットストーブは、排気口を通常より高い位置に出し、薪ストーブにも見えるようにしました。お湯を沸かしたりも出来るペレットストーブで、これ1台で、家じゅうが暖まる造りになっています。
土間から靴を脱いであがった、普段の暮らしのメインになる和室です。畳は熊本県八代市のい草表を使った鏡商店の「正直たたみ」で、ここにちゃぶ台を置いて暮らしています。襖の奥にコンセントを配置し、充電等はこの場所だけで行えるようにしました。物入の内側には全て無垢材の杉の板が張りました。
二階にあがる階段には、柱をもうけず、木の組み合わせだけで造った階段です。設計にも施工にも手間がかかりました。右手に見えるのは、この土間空間に車庫側から入ってこられる裏口で、ここから自転車を入れて、メンテナンス等出来るようにして、階段室と趣味の部屋とを兼ねました。板はあえてのこぎりの跡を残した風合いとしました。
二階は、将来、建て主さんのご家族が増えた時に部屋に仕切ることができるように、あとから廊下をつくることもできるような柱配置としました。
天井も床も、宮城県のくりこまくんえんの燻煙杉の無垢材を張りました。壁は漆喰の塗り壁です。
宮城県栗原市のくりこまくんえんさんの持ち山に、大黒柱にするスギを選びに行きました。きこりに指導してもらいながら、建て主さんご夫妻が自ら伐採するための追い口をつくる楔を入れます。
この木が家の大黒柱になるのです。
古民家ライフでは必ず上棟式を行って頂いています。この日は、よく晴れて、餅投げをしました。
上棟の喜びに包まれた建て主ご夫妻。とびきりの笑顔です。