山形県月山の麓にあった座敷蔵を、鎌倉に移築しました。古民家ライフ株式会社は解体作業と部材の補修、そして建て方までを受け持ち、その後は、現地の協力会社である高棟建設工業様に引き継ぎました。古民家情報のWebサイトである「古民家ライフ」を見て、鎌倉の建て主さんが移築を希望されたのです。
この蔵は見事な建物でした。どうも元の持ち主は山持ちだったらしく、土台だけでなく、柱と梁もすべて栗。屋根の垂木はエンジュが使われていました。エンジュといえば、普通は床の間の柱に使われるとても貴重な木なのですが、何十本もある垂木全てがエンジュ。建設当時どれだけお金がかかったのか、想像もできません。
移築先である鎌倉は、敷地も、そこにつながる道も狭く、建て方には苦労しました。無事上棟を終えると、その後の作業は地元神奈川県の高棟建設工業さんに引き継ぎました。この家の設計も高棟建設工業さんによるものです。半年後に完成した家を見に行くと、古民家ライフでつけた柱の番付板が、そのまま残されており、胸が熱くなりました。
解体した部材。使われていた場所がわかるように、番付板をつけました。
座敷蔵の中から出て来た建具や欄間の数々。移築後に新しい使われ方が待ってます。
移築後の土台据え付け。基準線を出すのがとても難しかったです。
写現場は寄り付く道が狭く、総重量900kgはあろうかという松の棟木は、2つに分けて運びました。
無事に棟木が上がりました。一番緊張した瞬間です。
垂木を並べて行きます。全てエンジュです。およそ、ここまでで古民家ライフの仕事は終わりです。
建て方から半年たって、完成した家を見に行きました。これは外観。
キッチンとリビング。びっくりするほど住み心地の良さそうな空間に変わりました。
部材には、古民家ライフでつけた番付板が、そのまま残されていました。半年前に、苦労して解体した時のことが思い出されます。
階段には、蔵から出て来た古い時計が掛けられていました。これからも長い時を刻んでいくのでしょう。