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2009年12月23日

「ブナ」のはなし

今日は“自然のものさし”といわれる指標植物「ブナ」のはなし。

ブナはブナ科ブナ属の落葉広葉樹。北海道南部から鹿児島県まで広く分布する、日本の温帯林を代表する樹木です。
 ブナの樹形はろうとのような形をしていて、雨水が枝から幹へとつたって根元にたっぷりと水分が集まるため、ブナ林は“緑のダム”と呼ばれるほど水分を多く含みます。秋には1本から数十万枚もの葉をおとし、ふかふかの土壌をつくり、森を豊かにします。欧州では「ブナの生ずるところ、その土地は常に美しい」といわれ、「森の聖母」「森の女王様」などと呼ばれているほどその立ち姿は優美で女性的!美しさとみずみずしさで育まれたブナ林は、立ち入るとまるで包み込まれるようなやさしさがあります。とくに白神山地のブナ林は世界遺産に登録されているほど。
 しかしその保水力のために、昔から腐れやすく、狂いやすいといわれることから木では無い=橅という字が当てられたほど建築用材として使いみちのない、扱いにくい樹種とされてきました。
 一方でシナやトチに勝る硬さと強さ、特に曲げやすさから、家具材、日用品などに使われ、その他の樹種では代用できないとされるほど曲げ木家具の材料として代表的なものとされています。
 最近では乾燥技術が発達し、もともと蓄積量の多いこともあって、用材としても見直され使われてきています。
 高さは平均20mくらいで、直径は70cm前後のものがほとんど。日本一大きなものは秋田県角館町にあり、高さ24m、幹周は8.6m、樹齢は200~300年、600年以上という説もあるそうです。
 木目は白~淡いピンク色で、はっきりとした木目はなく、心材、辺材の区別はあまりありません。平均的にゴマのような小さな濃い色の点があるのが特徴で、柾目面では帯状の模様(とらふ)となってあらわれます。全体的におとなしくてやさしい印象の木目です。 

ブナは天然林の代名詞のような樹木ですが、実際にブナの木を見分けられる人はけっこう少ないとか・・。そこでとってもわかりやすい見分け方をご紹介。
葉っぱを見れば一目瞭然!縁のギザギザに注目してみてください。ほとんどの樹木では葉脈という筋の先端部分が出っ張っていますが、ブナの仲間だけが凹んでいます。

現在日本にはブナとイヌブナの2種類しかないそうで、国内ではこの特徴だけでブナと判定できるみたいです。