2014年01月24日
木になる話 Ⅴ ヒメコマツ(姫小松)
姫小松は別名五葉松ともよばれ、その名のとおり女性的で優美なおもむきがあります。本州中部から北海道まで分布していて、比較的山奥の尾根筋に生えています。エコ花で扱う木材の産地のひとつ、奥会津地方は昔から姫小松の優良材の産地として知られています。杉などとちがって姫小松は植林に頼らず天然林だけなので、自然に育つものを待つしかなく、その量は年々減少しているようです。
材質はカラマツと対照的で、素直でおとなしく狂いもほとんどありません。樹脂分も少なく、板に挽いてもヤニもあまり出ません。施工性が非常によいのも特長で、日当たりのよいところなど狂いやすい状況の引き戸や建具などにも安心して使えるため、大いに重宝されてきています。構造材としてもすばらしく、エコ花でも大黒柱や梁に使用してます。節は大きなものであっても、やわらかいのでカンナもかけやすいそうです。(ヒバなんかの節はかたくてカンナが欠けてしまうらしいです)
写真の建具框に使用、鏡板は赤松
表情は主張しないやさしい木目で、ほんの少ーし黄みがかっています。伐採時期や乾燥の具合などで白太の部分にブルーとよばれる青い変色(腐朽菌です)が入ることもあり、これもまた不思議なふかい味わいになったりします。香りはやわらかく、上品な色味とかさなって、やさしい雰囲気をかもし出してくれます。年を重ねるごとに、ベンガラを塗ったような赤っぽい色に変化し、淡い輝きがでてくるのも魅力的です。
本当に名前のとおりお姫さまのようなほんわかやわらかい姫小松です。