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2014年01月10日

木になる話Ⅰ 杉

木造住宅でもっともポピュラーな材といえば杉です。少し前までは一般住宅の柱や天井材などは、たいてい杉と決まっていました。古来から多用されていたようで、弥生時代の代表的な遺跡‘登呂遺跡’でもほとんどの柱が杉といわれているそうです。その名は、立ち姿がまっすぐであることから「直(す)ぐ木」が転じたものといわれます。

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杉はサワラなどに比べると重いのですがヒノキや松よりも軽く、曲げ輪っぱの原料に使われることでもわかるように、曲げや圧縮にもかなり強い樹種。耐水性もあるため、柱材、梁材、内装・造作材、家具などのほか、雨戸などの建具や外装材にいたるまで多種多用に使用されてきました。むかしは杉や焼き杉の板の外装の家が一般的で、いまでも田舎(東京目線でごめんなさい)へ行くと目にします。

身近な建材の代表選手のような杉ですが、最近は花粉の原因として白い目でみられがちのようです。戦後杉の植林が奨励されたあと適切な手入れをされないまま放置され、多量の花粉をまきちらしているのは事実ですが、大気汚染や道路のアスファルト化、食生活の乱れなど、花粉症の背景にはさまざまな要因もあるようです。日本人の10%以上が花粉症といわれるこの現状を好転させるためにも、杉をもっと活用していきたいところですよね。

杉は樹齢が高く杢のあるものは貴重でとても高価ですが、一般的に入手しやすく扱われているクラスはとても安価で、木材業者の中では「一番安いのも杉、一番高いのも杉」と言われています。材の性質や樹齢によって価値がこれほど違う木はほかにないでしょう。とくに間伐材はきわめて安価なので、節さえ問題にしなければ費用を気にすることなく無垢の木のよさが楽しめます。厚みをいかして大いにつかっていただきたい木です。

杉はなんといっても独特のさわやかな香りが魅力。森びとの家では、居室をはじめ収納内、洗面、トイレなどにもお勧めします。吸湿性にすぐれているので、最適です。もちろん床材としても大活躍しています。

 

エコ花直井

2014年01月07日

国産材

巷では国産の木材(建築用材)が少なくなってきているようですが、まだまだ山が元気になるほど十分な環境で流通されていない現状ですね。
今日は日本の山の現状をお話しします。
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いま日本の林業が危なくなってきています。原因は、日本の木が使われなくなってきているから。日本の木が使われなくなってきている大きな理由のひとつは、外国からの輸入材の単価の安さにあると言われています。日本のゆたかな森林を健康に保つために、森びとのわたしたちにできることを考えていかなければなりません。

日本は国土の約7割が森林という、世界の中でもとくに恵まれた森林国であるにもかかわらず、木材自給率はたったの18%前後。 使用するほとんどの木材を外国から輸入しているといっても過言ではありません。輸入材は、わざわざ遠い国から運搬するエネルギーや費用の負荷があります。たとえば、九州や北海道から関東への運搬は、日本国内のみで考えるととても費用がかかるように思いますが、実際は欧州からの運搬費の1/5の値段で運搬が可能。その分エネルギーも少なくてすむのです。さらに外国の森林の一部では絶え間ない輸出のために伐採禁止の山や林の木もかまわず倒されるような違法伐採もあるそうです。 もちろん、長い距離を運ばれてくる木材たちには、運搬中にカビが生えないように薬剤処理がなされていることが多々あります。また『国産材は高い・輸入材は安い』というのが日本の定説のようになっていますが、いま実際国産材の杉未乾燥材(製材品)は1立米あたり45,000円以下、それに比べて大根は立米にすると11万円。何十年と育てられた木が大根よりも安い価格で取り引きされています。
自国でまかなえるものをあえて、他から持ち込み環境に負荷をかけるということ、なにか不自然で疑問が残ります。諸外国との貿易関係など簡単にはいかないさまざまな理由はありますが、森びととして何か少しでも出来ることがあるのではと考えさせられます。

長くなったので続きはまた明日・・・・

エコ花:直井