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2021年01月27日

農的暮らしを満喫する平屋

建て主様は、もともとは都心のマンションに住んでおられましたが、愛犬にアスファルトでなく土の上をのびのびと走り回れる環境を愛犬につくってあげたいという想いで、移住を決められ、天然住宅に新築の依頼がありました。暮らしに寄り添いながら、時の変化とともに味わい深さが増していくような住まいを目指しました。130坪ほどある敷地でお庭で畑仕事を楽しんだり、鶏を飼ったり。農的な生活を楽しまれています。

周りの風景に馴染む農家のような佇まい。外壁には焼杉板を横張りしています。こちらが南向き。北向きのの庭に向居間に光を採り入れるために、ハイサイドライトを取り込む窓をもうけました。

リビングというと南側というイメージをいだきがちですが、こちらは家の北側にあるお庭に向かって開いた、北向きのリビングです。夏の日差しもきつすぎず、南からの光を燦々とうける庭を眺めることができて、正解でした。無垢の杉材の床板が、犬の足の脂とぞうきんがけのおかげで、いい味を出しています。

ソファーでまどろむ愛犬。掃き出し窓はアルミサッシですが、手前に木製サッシを入れました。断熱性も高まり、無垢の木の味わいを楽しめます。サッシを開くとそのまま、居間の床面と同じ高さのウッドデッキにつながります。

南向きの高窓から入る光が、居間全体にやわらかく降り注ぎます。居間につくりつけた掘りごたつは、足をはずせば、天板が床にはまるので、必要に応じて使うことができます。

北側の庭から室内に直接入ることのできる土間をつくり、囲炉裏テーブルを置きました。下足のままお茶を飲むことができるので、ご近所の方が気軽に立ち寄られていきます。

土間のテーブルから庭を見たところ。ざっくりした風合いの暖簾が、風にそよいでいます。

土間仕様のキッチン。水仕事や畑で収穫した野菜の処理には、土間が向いています。ガステーブルのところの板の間から、母屋のリビングダイニングへと続いています。

ガラス、タイル、鏡を組み合わせた洗面ユニット。壁の厚み分の出窓から明るい光が差し込みます。

部屋から部屋へと愛犬が行き来できる「犬の通用口」がところどころに。

平屋ですが、物置に使えるロフトを併設しています。下を見下ろすとこんな感じ。

2021年01月27日

子育て世代のマンションリノベ

木の家に住みたいという想いはあっても、土地を取得するところからとなると、利便性の高い都市ではかなりお金がかかります。それでも「新築する予算はないけれど、子育ては木の空間でしたい」という方にとって選択肢のひとつとしておススメなのが、中古マンションのリノベーションです。マンションは構造自体は木ではありませんが、表面の床、壁などに無垢の木を使うだけで、空気の質や五感で感じるものは、格段に変わります。

これは、三面開口のリビングがあるマンションのリノベーションの事例です。中古物件選びから同行させていただき、間取り変更が特に必要なく、内装工事だけで希望を実現できそうな物件に出会いました。目や肌に触れる部分を無垢の杉板とほたて漆喰の天然住宅仕様仕上げにするだけで、雰囲気も空気感もがらりと変わりました。都会にいながらにして、森林浴をしているようです。

テラコッタ風のタイルの玄関をあがったところから全面的にスギの無垢板の床に。無垢の木は表面が多孔質で吸放湿性があり、そのおかげで家の空気は湿度の高い時でもさらりと、乾燥する時期にはしっとりとします。正面のシューズインクローゼットにも、無垢材の扉をつけました。

明るいリビングダイニングへと、視界が広がっていく廊下。建て主様曰く一番お気に入りの場所だそう。既存の壁にほたて漆喰を塗り、それぞれの個室の扉も無垢材にしました。

三面窓のリビング。両側が壁になる住戸より断熱性は低くなりますが、太陽の陽射しのダイレクトゲインが大きいのが魅力です。

リビング正面の窓側から見たところ。天井の無垢の板の色とほたて漆喰の壁の白とのコントラストが美しいのです。台所の目隠しにもなっているカウンターには、グリーンの布クロスを貼りました。

台所では、部分的にタイルを貼ったのと、無垢の木の吊り戸棚をつけたくらい。設備周りをいじらなかったので、コストを抑えることができました。

台所収納が少ない分、すぐ脇に物入れの戸棚をつくりつけました。上部の棚は飾り棚としておしゃれに使っていただいています。廊下との境には、すりガラスのドアを入れました。これ一枚で、廊下からの冷気が止まります。

子ども部屋。スギ板は表面がやわらかく、寝っ転がっても気持ちいいのです。右手は、ふすまのついた押入れだったのを、ロールスクリーンで仕切った収納にしました。

ご夫妻の寝室。

大きな鏡とタイルで仕上げた洗面台。台下の収納は戸棚ではなく引き出しにしました。真ん中はキャスターのついた洗濯物なげこみ袋です。

トイレ。洗面台下の戸棚の取っ手は、革製。トイレットペーパーホルダーは桜の木製です。

2021年01月20日

丘の上の家

北斜面にすばらしい眺望がひらけた「丘の上」に立つ家です。南側にはすぐお隣の家が迫っていますが、北側にのびのびと広がる視界を家にいながらにして楽しめるように計画しました。

道路から玄関に到るまでのアプローチに2mもの高低差があるので、自転車も人も楽にあがれるよう、竹の柵に沿ってゆるやかな勾配の坂をつくりました。

一階は杉板の横張り、二階は左官屋さんが丁寧に施工した塗り壁です。現場で配合した「土壁風ワラスサ入り」のカキ落とし仕上げです。外壁の杉板の自然塗料は、建て主さまとご友人とで塗りました。

玄関とちょうど反対側から見たところです。写真の左側が、眺望のひらけた北斜面となります。サンルーム、デッキを張り出して、絶景を楽しみながら暮らせるようにしました。手前に張り出した下屋の屋根の上に、主寝室のベランダが乗っています。

主寝室のベランダは「星見台」と呼んでいます。寝る前に夜景を楽しんだり、花火があがるのを見たり。ゆったりした時間を過ごせます。

主寝室。チョウナで仕上げた丸太を組んだ小屋組みが見えています。

2階への階段をあがると、妻面西側に寝室、東側に洗面所と浴室があり、吹き抜け空間に橋のように架かる渡り廊下でつながっています。写真は、正面は、寝室の小窓です。

2階の洗面所。床も壁も天井も、明るい木の空間です。

空が開けた北側からの光が燦々と降り注ぐ浴室。外に出られる、目隠しつきのベランダ付き。

吹き抜け空間と北側の眺望のひらけた大きなガラス窓が気持ちいい1階。冬の暖は、薪ストーブでとります。

ダイニングテーブルからの、丘の上の家ならではの眺め。

自然塗料の塗り塗につくりつけた小棚。こういった細かい造作ができるのも、大工がつくるキッチンだからこそ。

ダイニングテーブルからタイル張りのサンルームにへとつながるガラス戸には、ゆらぎのある模様の型板ガラスを使いました。

サンルームに面した和室は、親御さんが来られた時の客間となります。土壁の中塗り仕上げ。丸窓を配しました。