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2021年01月27日

愛犬と趣味を楽しむスキップフロアーの家

北海道伊達市内の小高い丘の上一角に、ビオプラス西條デザインで手がけている伊達エコビレッジの3棟めとなる、Tさんの住まいがあります。有珠山をはじめとする美しい山並みと噴火湾との両方を一望できる素晴らしいロケーションで、愛犬とともに「人生を楽しく過ごす」ことを基本に、計画を進めました。完成した家でTさんは、窓から射し込むやわらかい日差し、ストーブの炎、居間からの眺望を楽しみながら、愛犬とゆっくり過ごす日々を送っています。将来的にはドッグランを併設したカフェ営業も考えていらっしゃるようです。

「かわいらしさ」「楽しさ」というTさんのご要望に応じ、二層の切妻屋根が重なる外観にしました。駐車スペースの確保、玄関と道路とが遠くなりすぎないことなどを考え、建物はL字形に。外観はエコビレッジ内の両隣の家となじむカラマツ木酢板張りを基調としながら、手前の低層部分は道南杉を横張りした白い壁がアクセントになっています。ポーチには枕木を敷きました。

玄関とちょうど反対側に、噴火湾の海景色を見わたせる広い庭があります。その庭をドッグランとして使うのに、室内から庭に出たり入ったりがしやすいよう、ウッドデッキと木の階段をもうけました。

玄関扉をあけたところ。玄関土間に犬の足跡タイルとビー玉を埋め込みました。冬の冷気を室内に持ち込まないよう、ガラスの引戸をつけました。

居間から玄関方向をふりかえったところ。敷地内の高低差がかなりあるので、西側の庭に向かって一階床に段差をもうけ、階高をゆるやかにさげていく「スキップフロア」にしました。この段差に腰かけて、庭と海を眺めることができます。

スキップフロアの階段から、西側を見たところ。床は犬の脚への負担をかけないために、磁気製のタイルを張りました。居間、ウッドデッキ、庭、そして遠くに噴火湾とがひとつながりになる雄大な眺めを、室内にいながら楽しめます。

スキップフロアのすぐ脇の壁には、ディスプレイ棚として楽しめるニッチをもうけ、その下端に犬のリール掛けフックをとりつけました。

ニッチ付近からの居間の眺め。カウンターの向こうに台所があります。隅においたペレットストーブで、居間全体があたたまります。

大工手づくりのステンレスカウンターの造作キッチン。青いエコクロスの壁がアクセントになっています。将来のカフェ営業を見越してシンクを2つ組み込んでいます。キッチン床はリノリウム仕上。廊下からは二段下がっています。

居間のシンクは趣味でお花を活ける時に使っていますが、カフェ営業をするとなった時に必要になる設備なので、新築時につくりつけておきました。居間側からキッチンを見た時、シンクやガス台は視界に入らず、青い壁と棚、そしてその上にあいた窓からの空だけが、すっきりと見えています。

2階のプライベートスペースへとあがる階段途中の壁面にも、ニッチをもうけ、ブラケット照明を当てています。

2階の床はトドマツ材、壁はほたて漆喰塗り、天井には和紙を貼っています。格子のピクチャーウィンドウ越しに東の山並みが美しく見えます。

天井は張らずに、太い構造梁と登り梁とをあらわしにしています。

1階のユーティリティ。既製品のホーロー洗面化粧台を組み込んで造った、トドマツ製の洗面台とキャビネット。

2021年01月26日

生活クラブ館とよひら

札幌市豊平区の月寒にある、生活クラブ北海道の施設です。もともとここにあった「生活クラブ・ケアプランセンター」を、コミュニティーづくりの性格をより強めた「生活クラブ館とよひら」として新築したいということで、生活クラブの食材と同様、北海道産の無垢の木と無添加にこだわった建築を標準仕様としている私たちに依頼がありました。地元の木を使い、子どもにも高齢者にもやさしい施設をつくることを通して、地域でのSDGsの実現につなげたいと思っています。

「生活クラブ館 とよひら」は、高齢になっても安心して住み続けることのできる、多世代交流の地域づくりを目的としています。1階は生活クラブの食材でヘルシーなランチメニューを提供する「かふぇ ぽんこたん」、2階は多世代の居場所となる「スペースぽんこたん」、3階は生活クラブが提供する居宅支援事業所になっています。南隣地には本施設と関連する生活クラブデイサービス「デイこたけ」があります。北海道の杉材と札幌軟石張で仕上げた木造3階建ての外観は、商業施設やマンションなどの多い街並みに潤いを添えています。

1階は札幌軟石張り、道路に面した窓には木製サッシを採用、上層階は道南杉を横張りしました。道路側を全面駐車スペースとするために、建物全体を南側に寄せています。カフェも含め、全館がバリアフリー。車椅子でも入館しやすいよう、アプローチに江別レンガタイル仕上げのスロープを設け、館内にはエレベーターも設置しています。

1階の「かふぇ ぽんこたん」。床はトドマツの厚板材張り、壁はホタテ漆喰塗り仕上げ、天井は木毛セメント板の塗装および和紙貼りです。建具、テーブルや椅子、家具、窓を縁取る木枠など、すべてトドマツの無垢材でつくりました。レトロ調の照明器具や壁面にワインボトルを埋め込んだ装飾などで、カフェとしての雰囲気を演出しています。

全体に構造の柱、梁をあらわしたデザインとしています。カフェの真ん中大きな梁を受けている大黒柱を囲むようにして造った、無垢の耳付き一枚板のテーブルが存在感を出しています。腰壁には、樹種によってさまざまな色の無垢の板をランダムに張っています。「これは何の木?」などと会話が弾みます。

2階は「こたん」「ぽんこ」と大小ふたつの会議室のある「スペース ぽんこたん」のフロアです。扉はなく、ガラス窓の引戸で仕切っていて、柱と梁があらわしになった木の大きな空間が広がります。床には北海道産のナラ材を使い、壁は腰板張りの上はほたて漆喰で仕上げています。

多目的に使える「こたん」。子育て中のママたちの集い、子どもたちや多世代交流のイベント、体操やヨガの教室などに使われています。壁につくりつけた無垢材の棚が、参加者の私物置き場などになって便利です。

小ぶりで会議などに使える「ぽんこ」。木の空間での話し合いは、実りも多そうです。

3階にあがる天然木の階段と手すり。階段室は真壁風のデザインにしました。2階廊下の床は、車椅子での利用を考えて、リノリウムシート張りにしました。

3階の「ケアプランセンター」では、介護保険制度を利用したケアプラン作成の相談ができます。南側の高い位置の窓から、陽光が降り注ぎます。

だれにでも使いやすい、バリアフリーの共用トイレ。十分なスペースを確保し、車いす仕様の便器、はねあげ式の手すり、手洗い器のほか、おむつ交換台を設置しています。

◾️ 生活クラブ館 とよひらのパンフレット(PDFファイル)を見る

2021年01月20日

ほりさんの家

小姓町の家の構造見学会にいらして下さったのがきっかけで、ほかの工務店や住宅展示場には一切行くことなく、古民家ライフに決めて下さいました。建て主さんの予算内で、出来る限りシンプルな木の家、という大方針で合意し、それをどう実現するかという具体的な手法についてはお任せていただけたので、ある材料で造るなどの工夫ができ、いい家になりました。

外壁はウッドロングエコ塗装。壁の板はすべて、お施主様が古民家ライフの工場に通って、塗装されました。冬の雪をどうやって排雪するかは、山形で暮らす上でとても大切な要素です。この家では、屋根の雪がそばにある側溝に落ちるような屋根勾配と向きにしました。

家の中はほとんど間仕切りがありません。この写真には写っていませんが、階段脇に置いた薪ストーブ一台で、家じゅうがあたたまります。ストーブの設置場所まで土間になっているので、薪を運び込んだり置いたりするのに便利です。

1月にお訪ねしたのですが、冬でもTシャツ一枚と素足で過ごされていました。子供たちは家が暑いからと、寒波の中、半そで半ズボンで外で遊んでいました。

ご主人が消防隊員で勤務が不規則なため、夜中に帰ってきた時など、寝ているご家族に気づかれず休めるよう、玄関のすぐ脇に和室を造りました。赤ちゃん連れで来るお友達の授乳室になったり、お友達やご親戚がいらした時の宿泊場所にもなっているそうです。

正面がカウンターキッチンになっています。

二階にあがるシンプルな階段は、素通しとすることによって空気の流れと明るさを確保しています。土間のつきあたりに見える引戸は、外からの冷気を防ぐために玄関の内側にもうけたもの。これで玄関と室内土間との間に、山形には必須の風除室ができました。

間仕切りのほとんどない、広い空間を成り立たせるために構造計算すると、かなり太い梁が必要となりましたが、おおらかないい味を出しています。夜はこの梁の下にふとんを敷いて、ご家族全員で雑魚寝しています。右手奥にロフトにあがる梯子があります。ロフトはお父さんがひとりで籠もれる場所になっているようです。

その太い梁にはぶらんこがかかっていて、子供たちの大のお気に入りの遊び場になっています。

部屋に分かれておらず、一階と二階とも二つの吹き抜けでつながっているのがこの家の特徴です。空気の流れがよく、家全体が薪ストーブであたたまるのも、そのおかげです。

まだ工事中だった頃の写真をご覧ください。建て方初日を大雪の予報により延期したのですが、延期した当日が本当によく晴れてくれました。青空とクレーンって本当によく似合います。

棟が上がり、屋根がかかったところ。構造体がとても美しくみえています。

2015年12月14日

土間のある苫小牧の家

木酢液につけ込んだ外壁の板貼りで、まるで昔からそこにあったような佇まいに。コンパクトな平面ではあるものの、土間、板の間、小上がりと間仕切りなしにつなげた空間の変化が、実際の面積以上の広がりを感じさせます。2階は子どもが大きくなるまで当面間仕切りをせず、天井高さをできるだけ抑えた、大きな屋根裏部屋のようにしました。

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木酢液浸透カラマツの板壁仕上げの外装

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木製断熱ドアの横には、手づくりの木製郵便受けを組み込みます。

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構造材を見せて、床・建具とともに古色仕上げに。ほたて漆喰の白が映えます。

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存在感のある薪ストーブ。薪をくべることが楽しい生活の一部となります。安全と掃除のしやすさを考えて、ストーブのまわりは土間にしました。リビング脇の土間の存在が、この空間をとても個性的にしています。

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リビングから一段上がり、キッチンともつながる小上がり。

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キッチンも古民家風を損なわないようオリジナルで製作

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実験室用の流しをはめこんだ、オリジナルのシンプルな洗面台

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防腐性にも優れた青森ヒバの心地よい香りのシャワーを浴びる、ちょっぴり贅沢な木のお風呂。

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木板貼り仕上げの床と腰壁とほたて漆喰のシックな仕上がり

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天井を低く抑えた、屋根裏のような2階空間。窓際はスノコ床で空気を循環する。

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建て主も参加の内装工事。木の塗装、壁のほたて漆喰など、小さな子供と安心して参加できるのも自然素材の良さ。

2015年12月14日

北海道の素材をいかした厚別の家

薪ストーブをメイン暖房に考えていましたが、薪の保管場所や、ご夫婦共働きというライフスタイルを考え、温水セントラル暖房の補助としてペレットストーブを採用。(ペレットストーブ:間伐材や、製材過程で発生する製材クズを原料とした木質ペレットを燃料とするストーブ)道産の木や塗り壁に囲まれた住まいで、道産の燃料を焚いて暖を取る、エコロジカルでナチュラルな住まいになりました。

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落ち着いた色合いに塗装されたから松材と、白く塗装した道南スギをアクセントに

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北海道産の無垢の木だけで仕上げられた内装と造作家具の一体感が美しい

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窓からの景色や、家族の会話も楽しめる対面式のオープンキッチン。ペレットストーブの炎を見ながら家事ができる。

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リビングの吹抜けを通して暖かい空気が家中に対流する。小上がりの下は引出し式の収納にしてスペースを有効活用

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一階床に合わせてカラマツの幅剥ぎ板で組んだ無垢の木の階段

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吹き抜けの一部をスノコ式の床に。冬は洗濯物を乾かすのに最適な乾燥室

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三角屋根天井が気持ち良い2階ホール

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実験室用の流しをはめこんだ、オリジナルのシンプルな洗面台

2015年12月14日

古民家カフェ風 宮の沢の家

1階は業務用キッチンとカフェ風ダイニングを中心に。2階の子ども部屋とロフトは間仕切をあえて設けずに回遊できるプランニングとし、登り棒・ロープ・ボルダリングを設置したアスレチックルームになっています。
玄関からユーティリティまでつながる土間には昔ながらの三和戸(たたき)仕上げ。土間を挟んだ離れの和室は旭川産の土壁を使用しました。

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庭を囲む、離れの和室が良いアクセントになっている総板貼り木の外観

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木酢液に漬け込んだカラマツ材とグリーンに塗装した杉板。破風と窓枠のホワイトで引きしまった印象に。

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木の家にはぴったりの土間と薪ストーブ、まるでカフェのようなカウンターキッチン。

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土間を挟んだ離れの和室は、有機イグサを使ったヘリ無しの畳と旭川の土壁・土佐和紙で仕上げた。

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バスタブを置いたシンプルな作りの青森ヒバの木の浴室

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自分たちでできることは極力自分たちでやりたいという建て主の希望から、フローリングの塗装、内部の塗り壁、モザイクタイル貼り、土間に意志を埋め込むなど、積極的に施主施工に取り組みました。

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ロフトでつながっている南東角の明るい主寝室。

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2階の子供部屋はあえて間仕切りを設けず、登り棒やロープ、ボルダリングでロフトへ登れる、広々アスレチックルームに。

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三角屋根の高さを利用したロフトスペース。子供部屋も含め、2階の各部屋がつながっていて回遊できる。

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家族みんなでフローリング塗装をした記念に。

2013年12月02日

紙 壁紙

実際の使い心地

多孔質の紙壁紙は湿度調整、空気清浄、保湿性に加え最近はマイナスイオン効果があることが分かってきています。光を吸収し目にやさしく疲れないリラックス効果をもたらせてくれるようで快適な環境を作ります。またウッドチップ壁紙は塗装下地用として作られたものですが、使いこんで汚れた場合は塗装仕上げをすることもできます。

西條正幸(ビオプラス西條デザイン)