森びと定例会@札幌
本日は定例会。
札幌のビオプラス西條デザインさんのモデルハウスにお邪魔しています。
【半世紀を経てよみがえる「三角屋根」プロジェクト】
http://www.saijo-d.com/sidhp/triangle
(注:上画像はHPより。今はというと…積雪量に圧倒されていますっ…汗)
とてもかわいらしいお家です。
続報はまたのちほどー。
by 事務局e
本日は定例会。
札幌のビオプラス西條デザインさんのモデルハウスにお邪魔しています。
【半世紀を経てよみがえる「三角屋根」プロジェクト】
http://www.saijo-d.com/sidhp/triangle
(注:上画像はHPより。今はというと…積雪量に圧倒されていますっ…汗)
とてもかわいらしいお家です。
続報はまたのちほどー。
by 事務局e
私たち日本人にとってひときわ思い入れが強い木の一つではないでしょうか。特有の芳香と光沢が上品で、「檜舞台」「檜風呂」「総檜造りの家」という言葉には憧れの想いが込められて言われたりします。
杉の次に多く、北は宮城から南は鹿児島屋久島まで広く分布しています。2013年は伊勢神宮の式年遷宮で沸きましたね。あの建築からもわかるようにヒノキは太古の昔から建築用材として活用され人々に親しまれてきました。
大工道具が今ほど発達していなかった時代にも多く建築に用いられていた理由としては、加工が容易であるという檜の特徴が挙げられます。道具が未発達であった頃というのは、柱や板のように平滑な面を作ることだけでも大変な作業でしたから、ほどほどに柔らかく、まっすぐな木目に従って割ける檜というのは、当時の大工さん達にとってとても都合の良い材料だったのです。
(天井材、柱材:ヒノキ)
虫害・雨水・湿気などに強く、掘立柱で土中に埋めても腐りにくいという耐久性の高さは奈良にある法隆寺を見て頂ければ一目瞭然です。太くて長い大きな柱は樹齢2千年以上、直径2.5m以上の巨木を真ん中から4つ割にして使用しているそうです。それが1300年経た今でも、変わらぬ美しい姿を保っています。驚くべき耐久力です。
特有の香り成分には、虫を寄せ付けない効果もあるため、家づくりでは、土台にヒノキを用いています。
奈良時代の末には大工道具も飛躍的に発達し、カンナで表面を削れるようになると木目の美しさも認識されるようになりました。芯材は紅色で辺材は淡い黄白色、女性的な優しい色調で、フローリングは落ち着いた印象になります。
社寺や一般住宅用建材のほか、和洋家具、お椀などの食器、まないた等にもよく用いられています。
エコ花直井
キハダはみかん科の広葉樹で、北は北海道、南は九州まで広く分布し、しばしばクルミや栃などほかの広葉樹と混生しています。大日本有用樹木効用編によると「富士山及ビ北海道ニ多シ」と記されています。陽光の差し込むで湿った土地を好み、大きなものは直径1m、高さ25mにもなるといわれますが、今日ではそれほどの大木はほとんど見かけません。薬や染料などの原料として古くから有用樹木だったことから、随分伐採されたものと思われます。
キハダは木肌、木膚と書くほか黄木、黄檗、黄柏なども同義語で、いずれも黄の字がつきます。これはキハダの内皮が鮮やかな黄色をしているためです。コルク層の樹皮を剥ぐとハッとするような山吹色の美しい内皮が表れます。白太(辺材)は薄黄色、赤身(心材)は黄褐色とはっきり区別でき、材は堅くて軽く、上品な光沢のある和風の繊細な趣が特徴です。
乾燥時に狂いが出やすく、小・中径材だと暴れやすいという傾向をもっていますが、目のつんだ大径木になると狂いはほとんど出ません。また栗の次に水に強く、土台や基礎パッキン、台所の床板などの建材として使われるほか、北海道では枕木にも使用されていました。黄、グリーン、茶、黒と色相が多いのはキハダならでは。独特の材質感と美しい木目が、和室や和風の落ち着いた雰囲気にぴったり。
キハダは家具材や建材として使用されるだけではありません。その黄色い内皮は苦味の強い成分を含んでいて、古来胃腸薬として、また二日酔いの特効薬として重宝がられてきました。特に有名なのが、奈良県の吉野や和歌山県の高野山などの名産、陀羅尼助(だらにすけ)です。
これ↓
エコ花でも数名愛用者がいるほど、有名で効き目があるらしい?!薬です。2つの層に分かれている樹皮の、外側のコルク層を取り去って内側の黄色の肉皮を乾燥させたものをオウバクと言います。この内皮を煮詰めてつくるこの薬は、歴史は古く奈良時代にまでさかのぼり、健康整腸剤として真言密教系の修行者たちの常備薬だったといわれています。
エコ花直井
姫小松は別名五葉松ともよばれ、その名のとおり女性的で優美なおもむきがあります。本州中部から北海道まで分布していて、比較的山奥の尾根筋に生えています。エコ花で扱う木材の産地のひとつ、奥会津地方は昔から姫小松の優良材の産地として知られています。杉などとちがって姫小松は植林に頼らず天然林だけなので、自然に育つものを待つしかなく、その量は年々減少しているようです。
材質はカラマツと対照的で、素直でおとなしく狂いもほとんどありません。樹脂分も少なく、板に挽いてもヤニもあまり出ません。施工性が非常によいのも特長で、日当たりのよいところなど狂いやすい状況の引き戸や建具などにも安心して使えるため、大いに重宝されてきています。構造材としてもすばらしく、エコ花でも大黒柱や梁に使用してます。節は大きなものであっても、やわらかいのでカンナもかけやすいそうです。(ヒバなんかの節はかたくてカンナが欠けてしまうらしいです)
写真の建具框に使用、鏡板は赤松
表情は主張しないやさしい木目で、ほんの少ーし黄みがかっています。伐採時期や乾燥の具合などで白太の部分にブルーとよばれる青い変色(腐朽菌です)が入ることもあり、これもまた不思議なふかい味わいになったりします。香りはやわらかく、上品な色味とかさなって、やさしい雰囲気をかもし出してくれます。年を重ねるごとに、ベンガラを塗ったような赤っぽい色に変化し、淡い輝きがでてくるのも魅力的です。
本当に名前のとおりお姫さまのようなほんわかやわらかい姫小松です。
全国的に分布するトチは、東北地方に多く自生していて、なかでもエコ花の工房のある奥会津は大径木の産地でした。比較的低山地帯の水分の多い肥えた土のところを好むようで、成長も早く、大きなものは直径2メートルを超すものもあります。月の輝く夜は、樹齢何百年もの大木は巨人がたたずんでいるように見えるとか。(ぜひ見てみたい!)
木材は「トチの絹肌」と呼ばれるほど緻密でなめらか、美しい白色が特徴です。非常に割れにくいのに軽くやわらかで加工も容易ですが、反面狂いやすいという短所ももっています。
通常木材は白太よりも赤身のほうが価値が高いとされるのですが、トチは例外で、白太が多いほど良材とされます。用途としては漆器の木地や家具材、建築の造作材などで、会津ではお椀などの木地としてよく使われています。歴史も古く、縄文時代にまでさかのぼり、三内丸山遺跡などからはトチの漆器が出土しているそうです。
これはトチの丸太を製材している写真。↓
花は20~30cmもある円錐形の真っ白な花が咲きます。その花からはくせのない良質なはちみつも採れます。またトチの実はでんぷん質が豊富で、栗やクルミと同じく縄文人の貴重な食料だったそうです。いまでも会津や奥秩父などでは、丹念にあくヌキをしたトチの実でトチ餅をつくります。我が家ではお正月にトチ餅を搗きますが栃の実は名人にあく抜きを頼みます。素朴なやさしい味が絶品!
樹齢が高いトチは、テッポウ虫(樹皮にツタがからまっているとだいだい中に入っているようです)の虫食いあとや天日乾燥中のしみがはいったものが多くあることがあります。しかしそれでトチのよさが損なわれるというよりは、生きている証が味わい深い表情となって独特の雰囲気をかもし出します。
こちらは天板も脚もすべてトチでつくったダイニングテーブル。↓まぶしいほどの白色です。
エコ花直井
マツは常緑の針葉樹ですが、カラマツだけは落葉針葉樹で、北海道、東北、中部地方などの高地でよく見かけます。芽吹きの時期と、秋の終わり紅葉の時期の黄金色にかがやく美しさは見事。その美しさのために詩歌などにも多く登場します。
成長が早いため戦後盛んに植林され、植林量でいうとスギ、ヒノキに次いで3番目。名前の由来は直立したその立ち姿がアカマツやクロマツとちがって「唐風」であるため、と言われているそうです。
スギやヒノキ、ほかのマツなどよりも強く堅いので床材にぴったり。赤っぽい色味とはっきりした木目があたたかい印象で、和風洋風どちらのテイストにもマッチします。
ひとつ気になるのはマツヤニが出やすいこと。マツヤニが出るとその部分がねっとりとべたつくので、アルコールで拭くなどの処置が必要になるかもしれません。ただそれも2、3年で落ち着き、月日が経つごとに褐色化して渋いあじわいが出てきます。
樹齢が高く充分に乾燥させたものはあまり問題ありませんが、若い木はねじれやすく暴れやすいため、加工が難しく敬遠されてきました。しかし丸太で1年おいてその後も充分乾燥させてクセを出し切ると、柱や梁の構造材など長ものとして使ってもまず問題はなく、ねばり強いので頑丈です。また湿気やシロアリにも強いので、デッキなどの外装材、土台としても使われています。暴れるという欠点を特性として見直し、熟知したうえで使えば、とてもよい材料だと思います。
小淵沢の家では、樹齢80年の天唐(天然唐松)がお客様の目に留まり、尺角の大黒柱として使用しました。
エコ花直井
前回は針葉樹でしたが、今回は広葉樹の中から以前エコ花のブログで取り上げたところ根強く検索ワードで上位を走りましたのでこちらでも・・・・・
オノオレカンバ(斧折れ樺)は文字通り、斧が折れるほど堅いことからこの名がつきました。大日本有用樹木効用編には「此樹ヲ伐ルトキハ斧ノ折ルルコト多キヲ以テ斧ヲレト云フ」、そして「日光、木曽、秩父、甲斐、岩代等ニ多シ」と記されています。
ほかの木材に比べて桁違いに堅いため、福島県南会津のオグラさんで丸太製材をお願いしたところ刃を何度も取替えてゆっくりと時間をかけて挽きました。堅いのですぐに切れなくなってしまうそうです。生えているのは、足場を確保しないと伐倒できないような山地の岩場が多く、ほかの樹木の生育にはあまり好ましくないようです。
オノオレカンバは比重が0.9~0.94で日本一重い木です。トチやニレの倍以上、ネズコと比
べると約3倍もの重量があります。木と一口に言っても、杉などのように爪でも跡がつくやわらかくて軽い木から、斧が折れるほど堅い木までさまざま。日本の気候風土の多様性を感じさせます。
じっくりと根を張り長い歳月をかけて成長するので、あまり大きくはならず、樹齢300年を越えてもやっと直径40cmほど。それ以上大きくなると徐々に腐れが入り、多くは空洞木となります。せいぜい高さ15m、直径60cmが限度で、それを超えるものはめったにありません。陽光を好む陽樹で、枝は周囲に大きく張り出します。根もよく張り保水力があるので、山を守ります。
重くて堅いオノオレカンバ、その質感は硬質でひんやりとした重厚さがあり、たたくと澄んだよい音を立てます。大半は岩場や急勾配の尾根など足場の悪い場所に生えているので、素直な木はめったにありませんが、素性のよい木は木琴の材料として最高だとか。また櫛の材料としてもツゲ同様長い歴史を持っています。木曽薮原の「お六櫛」の材料はオノオレカンバ。静電気がおきず、髪や地肌にとてもよいといいます。
台所家具の扉でオノオレカンバを使用。木目が細かく艶やかな木肌でしあがった(天板はサクラ、床はクリ、天井は杉)
また増改築の現場でオノオレカンバを大黒柱に使用しました。どっしりとした重厚感あふれる柱は、客殿の要として威風堂々とした趣をただよわせていました。(式台はイチョウ)
PS.ここのところ東京の冷え込みも厳しく、薪ストーブで過ごしている我が家では広葉樹の薪は宝石のように大事につかいます。昨晩はずしんとくるオノオレカンバの木端をストーブに入れたところトロトロと揺らめく炎を長時間出し続けていました。やはり針葉樹とは格段に違います。
エコ花直井
木造住宅でもっともポピュラーな材といえば杉です。少し前までは一般住宅の柱や天井材などは、たいてい杉と決まっていました。古来から多用されていたようで、弥生時代の代表的な遺跡‘登呂遺跡’でもほとんどの柱が杉といわれているそうです。その名は、立ち姿がまっすぐであることから「直(す)ぐ木」が転じたものといわれます。
杉はサワラなどに比べると重いのですがヒノキや松よりも軽く、曲げ輪っぱの原料に使われることでもわかるように、曲げや圧縮にもかなり強い樹種。耐水性もあるため、柱材、梁材、内装・造作材、家具などのほか、雨戸などの建具や外装材にいたるまで多種多用に使用されてきました。むかしは杉や焼き杉の板の外装の家が一般的で、いまでも田舎(東京目線でごめんなさい)へ行くと目にします。
身近な建材の代表選手のような杉ですが、最近は花粉の原因として白い目でみられがちのようです。戦後杉の植林が奨励されたあと適切な手入れをされないまま放置され、多量の花粉をまきちらしているのは事実ですが、大気汚染や道路のアスファルト化、食生活の乱れなど、花粉症の背景にはさまざまな要因もあるようです。日本人の10%以上が花粉症といわれるこの現状を好転させるためにも、杉をもっと活用していきたいところですよね。
杉は樹齢が高く杢のあるものは貴重でとても高価ですが、一般的に入手しやすく扱われているクラスはとても安価で、木材業者の中では「一番安いのも杉、一番高いのも杉」と言われています。材の性質や樹齢によって価値がこれほど違う木はほかにないでしょう。とくに間伐材はきわめて安価なので、節さえ問題にしなければ費用を気にすることなく無垢の木のよさが楽しめます。厚みをいかして大いにつかっていただきたい木です。
杉はなんといっても独特のさわやかな香りが魅力。森びとの家では、居室をはじめ収納内、洗面、トイレなどにもお勧めします。吸湿性にすぐれているので、最適です。もちろん床材としても大活躍しています。
エコ花直井
みなさんの中には木を伐採して使うことが森林破壊につながり、二酸化炭素の吸収、酸素の供給が減ってしまうと思われている方は多いのではないでしょうか。(事実、東南アジア、南米などでは深刻です)
木を大量に使う住まいづくりも環境破壊へつながる行為だと捉えられがちですが、山には守られるべき天然の森林と、植林されて育てられ、伐採されてそれが繰り返される世代交代が必要な山とがあります。たとえば杉や桧など針葉樹を植えた林は、成長過程の中で間伐、下刈り、枝打ちなどの手入れをしていかないと、土に日光や栄養分がいきわたらず、ひょろひょろと曲がった細い木しか育ちません。木材としての価値がなくなるだけでなく、日光があたらない地面には下草が生えなくなります。植物の生えない山=根っこのない土壌は水を溜める保水機能がなくなり、雨が降ると地盤がゆるくなるため洪水、土砂崩れをまねいたり、夏には渇水をもたらしたりすることがあります。(日本の森の現状はこのような放置林が多くみられます)
つまり人の手で植林されてきた森は、私たちの資源として利用されることで活性化され、生きつづけて行けるのです。木を伐採するというのは自然の理にかなったこと。人とかかわりを持った山は人が山にはいり、手を加えていくことは山を守っていくために必要なことなのです。
しかし現在輸入材におされている国産木材は、使われないため伐採されない、伐採がないため林業者が減っていく、人手がなくなると手入れが行き届かなくなる、手が入らないと山は荒れる・・そのように荒れた山にはいい木材は育たず、さらに森の価値がなくなっていく、という悪循環に陥ってきています。またなかなか伐採されないため、木がどんどん年齢を重ね、“山の高年齢化”も進んでいるといいます。サイクルが50年以上かかる林産業では、伐採のかたわら次世代の子どもたちのために植林をしていくことが不可欠です。
だからこそ森びとでは木の家づくりで国産の木材にこだわるのです。
家づくりを通して少しでも日本の山が健全な状態に近づくよう願い、今年も森びとの家づくりに精進いたします。
エコ花:直井
巷では国産の木材(建築用材)が少なくなってきているようですが、まだまだ山が元気になるほど十分な環境で流通されていない現状ですね。
今日は日本の山の現状をお話しします。
いま日本の林業が危なくなってきています。原因は、日本の木が使われなくなってきているから。日本の木が使われなくなってきている大きな理由のひとつは、外国からの輸入材の単価の安さにあると言われています。日本のゆたかな森林を健康に保つために、森びとのわたしたちにできることを考えていかなければなりません。
日本は国土の約7割が森林という、世界の中でもとくに恵まれた森林国であるにもかかわらず、木材自給率はたったの18%前後。 使用するほとんどの木材を外国から輸入しているといっても過言ではありません。輸入材は、わざわざ遠い国から運搬するエネルギーや費用の負荷があります。たとえば、九州や北海道から関東への運搬は、日本国内のみで考えるととても費用がかかるように思いますが、実際は欧州からの運搬費の1/5の値段で運搬が可能。その分エネルギーも少なくてすむのです。さらに外国の森林の一部では絶え間ない輸出のために伐採禁止の山や林の木もかまわず倒されるような違法伐採もあるそうです。 もちろん、長い距離を運ばれてくる木材たちには、運搬中にカビが生えないように薬剤処理がなされていることが多々あります。また『国産材は高い・輸入材は安い』というのが日本の定説のようになっていますが、いま実際国産材の杉未乾燥材(製材品)は1立米あたり45,000円以下、それに比べて大根は立米にすると11万円。何十年と育てられた木が大根よりも安い価格で取り引きされています。
自国でまかなえるものをあえて、他から持ち込み環境に負荷をかけるということ、なにか不自然で疑問が残ります。諸外国との貿易関係など簡単にはいかないさまざまな理由はありますが、森びととして何か少しでも出来ることがあるのではと考えさせられます。
長くなったので続きはまた明日・・・・
エコ花:直井